JBL4560BK
何度このタイトルで書いてきたでしょう?初めて出会った時から全く鳴っていなかった、普通上手く鳴ってないスピーカーを欲しいとは思わないし、ましてやかっこいいなどとは思わないですよね、私のように何の根拠もなしに購入する人はいないと思います。
しかし私は違います、かっこいいと思ったのです、そうしてただ神秘的なフォルムに盲目的に憧れ何にも知らず購入してしまったのです、やはり一度聴いたとおりの実に酷い音でした。
低い音階も鳴らない色気も何にもない渇いたような埃っぽいボコボコの音でした、しかし私はこう思いました『JBL4560BKよやっと来たね、かっこいい一日中見ていて飽きない、これからお前は俺の相棒だ、いつか必ず理想の鳴り方にする』と。
そこには何の根拠も経験も理論もありませんでした、しかしどうしても鳴ると思えて仕方がなかったのです、みんな私を馬鹿にしました『何でこんなもの買ったんだよ、PA用で家庭で使うスピーカーではないよJBLなんて所詮はブランド志向だ』そう散々言われました。
言われれば言われるほど鳴らしてみたくなりました、しかし現実は確かにみなさんの仰るとおりでした、しかし事細かくは書きませんが色々努力を重ねた結果、同じ4560BKを使ってる方と知り合い聴かせていただきました。
低音は鳴らなかったが実にバランスのいい音でした、聴かせていただいたのでこうお伝えしました『この帯域バランスのまま低音がもっと低い方へ伸びたら最高ですね』と。
『それが4560BKの難しいところだよ』とその方は笑いました、しかし私のお伝えした内容は的外れだった事にかなり後に気が付いたのです、その方の4560は総て低い音階が鳴らない方向になっていたのでした、それから数年私も努力を重ねていたある日再び連絡が入りました『かなり鳴ったから聴きに来ませんか?』と明るい声、早速伺いました。
かなり期待していました、しかし『うんっ?私の方が圧倒的に鳴ってる』そう思いそのままお伝えすると『是非聴いてみたい』そう言われご足労願い聴いていただきました。
『そうかここまで鳴るのか…こんな4560聴いたことがない』と不思議がっていました、明らかに別の方向から攻めた私の進歩でした、しかしこの時私の4560BKも
まだまだだったのです、しかしその方はすっかり自信をなくしてしまい4560BKを手放されたようです。
その頃バブルが弾け私もお金がなくなり、一旦は4560BKを手放しましたが今から十年程前、私は再び家内に頼み込み4560BKを軸としたオールホーンスリーウェイスピーカーシステムをとりあえず少しずつ揃えました、その時こう思いました『やっぱりこれだな』と。
一度経験しているので及第点まではすぐに鳴らす事が出来ました、しかしそこから自作ネットワークの蟻地獄が始まり、帯域バランスの大切さを知りました、こう思いました『総てはユニットどうしを上手く繋げられず帯域バランスが崩れてるからだ』そう思い、ネットワークは4~5年かかり完成しましたが、JBLオリジナルの部品定数とも全く違うシンプルなもので実に上手く帯域バランスがとれました、その自作ネットワークが上手く作れなかったら、現在のマルチシステムは完成しなかったでしょう。
しかし何故私がこれだけ帯域バランスを気にするのかあまりにも多岐に渡るためブログてお伝えするのは不可能と思われます、こういう事です、ウーハーを上手く動作させるにはツィーターの帯域が必要になり、その真ん中に位置するドライバーはウーハーとツィーターが 上手く手を結ばなければならず、総てが三位一体になり絶妙に助け合うように、一つになっていなくてはなりません、その中の一つでもバランスを崩す要因があると総てが崩れてしまうのです、話すと簡単ですがみなさんそれが出来ていたなら世間に立派に鳴っている4560BKがもっとたくさん存在するはずですがどこにもありません。
4560BKは指向性が強い性質をもっております、それが故に鳴らすには総てが整っていなければならず優れているが故、難しいのです、そこまで苦労するならメーカー製の完成されたスピーカーシステムを使用した方が楽にいい音を鳴らせます。
鳴らしてみて思います、生半可な考えでこのスピーカーシステムは鳴りません、また上手く鳴らすパターンもありません、幾多の方々が挑戦し諦めたJBL
4560BK。
オーディオは偶然に鳴る訳でなく、鳴らないのにはしっかりした理由が必ず存在します、かといって回路馬鹿や理論だけでも鳴りません、最後はやはり経験とセンスと粘着質な性格と、間違いに気付きそれを改善出来るだけの能力と耳が必要になります。
そして音楽と録音をよく理解しなければなりません、JBL4560BKは優れているが故にとても難しいスピーカーボックスなのです。