オーディオリスニングルーム
ウエスタンスピリッツのリスニングルームは、とても変わった形をしている。
元を正せば予算とスペースの関係で、ビルダーを悩ませ、何度も図面が変更になり、この形になったのである。
見た目は、ログハウスの様な山小屋風の形になり個人的にはお気に入りなのだが、初めて図面を見た時は、がく然となった。こんな形の天井で左右非対称で、果たしてオーディオがちゃんと鳴るのか?
そう思った、しかし実際に越してきてオーディオを結線し、鳴らした時は実に潤いのない酷い音だった。
「もうオーディオをやめよう」そう思った。でも半ば諦めムードでCDを24時間ずっと鳴らしっぱなしにしておいた。
すると日をおうごとに音は潤って来たのである。「そうか、これが新居の部屋が馴染まないと言う事か」そう思い直した。
出来上がって何も入ってない部屋は物凄くライヴな響きだった。しかし、しっかり総てが収まると、この部屋は平行面が少なく、定在波が少ない事に気が付いた。
そして耐震構造のレベルが高い作りなので、柱が普通の建築基準の三倍は入っている。
柱や壁がガチンガチンなのである。寒く乾いた季節や、暑く湿った季節をこの部屋で過ごし、オーディオをじっくり鳴らす事により、柱や壁や天井や床がオーディオに都合よく馴染むのである。
住んで一年四ヶ月経った今、新居のリスニングルームはかなり馴染んできた。そしてその変化の中でオーディオ構築の方法がその時々で変わってきた。
しかし、もう変化は少なくなって来たと思う。かえすがえすもっと早くスピーカーやラックや機材の下の振動対策をうてばもっと早く進んだ気がする。
しかし、負け惜しみになるが、ものには順序がある、それをしっかり分かっただけでも良かったのかも知れない。
そして、山小屋の様なウエスタンスピリッツのリスニングルームは、なかなかの響きになった。
部屋や屋内配線(リスニングルームのみ、総てが単独回路)と言うのは、やはりかなりきいている、その配線の馴染みみたいなものもあったのである。
オーディオにとって部屋は、スピーカーボックスの延長線であり、楽器の様なものではないだろうか。
それにしても耐火構造の基準とは、誠におかしなものである。なぜ石膏ボードを壁の内側に張らなければならないのか?
内壁が木材ならば、もっと響きの良いリスニングルームが出来たと思うが、法律がそれを許してはくれない。
キャッシュならば個人の責任ですまされる。しかし、住宅ローンを組むと、耐火構造の基準を満たしてない部屋は資産価値が下がり、資産価値のない家に住宅ローンは通らないのである。
住宅ローン減税は確かにかなり助かった。しかし、木材の壁のリスニングルームを作りたかった。
これはオーディオを何とか極限迄鳴らそうとした方みんなが感じている事だと思う。石膏ボードでスピーカーボックスを作っても響きが粗くのびのびした音にはならない。
ならばその部屋の中で、オーディオと向き合わなくてはならない事になる。しかし、個々の努力次第では、ウエスタンスピリッツの様な鳴り方を構築する事も出来る。
これもまた事実。