再び恩師宅へ
写真の木材はトーレンスTD124の足で銘木チークである。黒檀程ではないが目が詰まっていて固く、鬼目ナットをねじ込む時割れてしまうかもしれないと思った。しかし何とかゆっくり入れる事が出来た。
さて役者は揃った。総武線船橋で乗り換え、再び東武野田線の川間へ。
さて、ターンテーブルはほぼスケルトンになる、実力は発揮されるだろうか。
機械はものを言えない、そこに音と言う命を吹き込むのが我々オーディオのプロの仕事である。
恩師は定刻ぴったりに車でいらした。先ずは現状のまま聞いた、本当だ面白味がない、音が死んでる。
弾んだ感じもないし元気もない。よしっ!作って持参したチークの足を付けてみよう。オリジナルの四本のボルトを外し、作ってきた短いボルトに交換した。
そして付けて聞いてみた。音の分離に優れ、音がスピーカーからはがれた。低音も更に下まで沈んだ。
恩師はしばし黙って聞いていた。再び笑顔になった。しかし前回の様な事もあるので、喜んでばかりいられない。
しかしスケルトンにしたことで余計な響きがなくなった事は明らかである。ノイズも半分になったと恩師は喜んでおられた。
そしてメンテしたSPUクラシックを繋いで聞いてみた。針圧は3.0gとした。
おおっ!やはりSPUは良いカートリッヂである。コントラプンクトbよりも明らかに柔らかい、それでいてボケてないのである。
カンチレバーを引っ張っているワイアーのテンションを僅に上げたのである。しかし、とても繊細な作業を要求されるので、素人では無理である。私のオールドSPUと同じにしたのである。
そして、オリジナルGシェルから外し、私と同じように、普通のヘッドシェルに装着するため、そのままでは装着出来ず、黒檀のスペーサーを作りヘッドシェルとの間に噛ませたのである。
恩師は一言…もうGシェルには戻れないねと呟いた。そしてトーレンス124を裸にしたこととチークの響きと、アームベースに私が作った銘木ウェンジュの響きが合わさったのである。
みなさんどうであろう?アナログは簡単に鳴らない事がご理解いただけただろうか。まるで楽器の様である。そしてトーレンスTD124をキャビネットに納めて良いと思っている貴方、間違いなく鳴っていないと思う。
レコカットだのEMTだのリンだの正直どうでも良い。センスよく経験を活かし、正しい方向に導けば、ちゃんと鳴る、これがアナログオーディオである。