お客様のネットワーク制作
まだ暑い夏の事だった、10年ぶりにご連絡がきて、再会した船橋のお客様である。病気をされ、体に力が入らず、一旦は大きなオーディオの処分を考えていらしたようである。
しかし私は考えた、これだけの音のシステムを今、再び簡単に揃える事はもう叶わないだろうと…
それ以来、ウエスタンスピリッツが、システムに手を入れてきた。今年最後の大仕事である。私と同じJBL 4560BKをお使いになっておられる。ホーンも同じコーラルのAH-500である。アンプも以前、同じCROWNをお納めした。なので部品定数は同じでバランスする筈である。
今年、大病を患い入院され、病気を乗り越えられたのだ。私も少なからず何かのお手伝いをしたかった。私の仕事はオーディオであり、お客様のシステムの音を良くする事である。
少しでも良い音を聞いて元気になっていただきたい、その一心である。私も数年前、少し入院して、力なくガタガタになって我が家に帰った時、オーディオで好きな音楽を聞いて、心に火を灯した事があるからである。
人は本来カウンセラーなど必要ない。オーディオで好きな音楽をゆったり聞く、そんな時間があれば、早く現場復帰が出来る、私は、その時そう思った。
心がじんわりと暖かくなったのを覚えている。
これが総てとは言わないが、ネットワークの役目はとても大きい。現在使われているJBLオリジナルネットワーク3110は、既に経年変化を起こし、完全に音がボケている。しかし、その事実を、お客様にお伝えする事がとても難しいのである。答えは、まだ鳴っているからである、しかし、ただ鳴っているだけで、乾いていて色艶がないのである。
ケーブルは来年しっかり決めるとしても、せめて今年はネットワーク迄しっかりしたものに換えて、新たな気持ちで新年をお迎えしていただきたい。多分、今年は紅白をオーディオに音声信号を繋げて観る筈である。
ネットワークは木の板に作った。ウーハーは例の如く800Hzで1.6mhのコイルだけでハイカット、ドライバーは25μfのコンデンサーだけで800Hzのローカット、そして0.25mhで5000Hzでハイもカット。
そしてツィーターは、4μfだけで5000Hzのローカット。
これでしっかり決まる筈である。しかし、忘れてならないのがドライバーのレベル調整である。取り合えず可変式のアッテネーターを繋ぎ、ウエスタンスピリッツとはウーハーの能率も部屋の響きも異なる為、固定抵抗の定数を掴み、決めなければならない。
来年、固定抵抗が決まれば、いよいよウエスタンスピリッツのリッツ線ケーブルの出番である。
どこまで鳴るのか、今からとても楽しみである。オーディオは最後、電源やケーブルやネットワークで音が大きく決まるのである。
CROWNのアンプに繋ぐ100Vから117Vに昇圧の、1000Wクラスの低磁束のノイズカットトランスは既に納品してある。
新たなネットワークは、かなりの音質改善が見込まれる。
さて、どうなるだろうか。