DENONのカートリッヂ再び
今回のお話は、販売されてない特殊なカートリッヂ、DENON DL-305の発売記念モデル(非売品の特殊なもの)のお話しである。個人的に同メーカーのDL-305も所有しているが音は全く違う。
ネットオークションでも一度も見かけたことはない、日本全国で100本とはないだろう。今となってはもう何処にもないし、多分、分かっていて所有している方は、絶対に手放さないと思う。
内容は全く分からないが。以前調布の賃貸マンションで鳴らしていた、とても音の優れたカートリッヂである。
人は浮気性だ、SPUの音に甘さを感じず、少し緩い音を聞いてみたくなったので繋いでみた。
ところがオルトフォン コントラbと迄はいかないが、実に甘さのない味わい深く芯のあるハイコンプライアンスなカートリッヂであった。
システムを追い込むとは、こう言う事なのか改めて感心した。つまり調布の時とはまるで違う音になったのである。
針圧は本来1.25gなのだが、今回、鳴らしはじめなのと、冬なので気温も湿度も低い、なので1.5gとした。
低音は確かにカンチレバーがSPUに比べ少し長いので若干甘く感じるが、その範疇になく、それがまた渋い最低音を感じさせる。そして、高域が分厚く強く何倍も細やかに増えた。
ピアノの高域も切れが良くてなかなかである。しかし、不思議である。以前はSPUの方が立ち上がりが早く感じたのに、今はこちらの方がサッパリしてダイナミックに聞こえる。
オベラの人の声は、しっかりしていて芯があり、定位が小さく、しかも距離と奥行きと広がり実在感を強く感じる。
このカートリッヂは以前、所有していたピカイチのSPUを手放し、ガッカリしている時、先輩から無料で頂いたカートリッヂである。そして、感謝してずっと大切に保管してきた。
私は日本人だからなのか、DENONはとても合っている気がする。しかしつぶさに観察してみると、カンチレバーがかなり特殊である。ボロンかも知れない。
ルビーのカンチレバーも甘さがなくエネルギーロスがなく元気で優れているが、やはりボロンは適度に響きが抑えられ素晴らしい。
思い出した、このカートリッヂは、以前、ドイツグラモフォン バーンスタイン指揮、ビゼーのカルメンが上手く鳴った事を。なので針を落としてみた、やはりとても上手く鳴った。
肉厚なのである、そして音を掴めそうな位だった。カルメンは個人的に、こうでなければならない。気が遠くなる程上手くなった。
そして暫く針を落としてなかったSCOTT HAMILTONのCLOSE UPを聞いた。
良いね、しっかりしていて落ち着く。レンジも広い、他に言葉はいらない。現代のカートリッヂがとっくに忘れた暖かい音がした。
スペアが欲しくなった(笑)