ウエスタンスピリッツのオーディオ構築、ターンテーブル
ウエスタンスピリッツはYAMAHAのGT‐750を中古で購入し使っている。しかし、他のターンテーブルを知らずに使っている訳ではない。
マイクロのDD‐8、マイクロの5000番、テクニクスのSP‐10MKⅡ、ロクサンのザークシーズ、リン ソンデックのLP‐12、ガラード#301アイボリーとハンマートーン #401等、実にたくさん使ってきて色々経験を積んで来たのである。
トーンアームもSAEC SME Ortofon等、実にたくさん使ってきた。
そして、GT‐750のオリジナルトーンアームがどうしても嫌で、オーディオテクニカAT‐1005Ⅱに交換した。答えは、シンプルで感度が高く、優れているからである。
当然トーンアームの長さもメーカー指定のオーバーハングも違うので、キャビネットに正確に穴をあけて取り付けた。
音はオリジナルのアームと全く違い、端正で整った緻密な音になった。
そして以前から気になっていたトーンアームの出力の五ピン端子、プレーヤーの裏にあり、装着しづらくただ刺さってるだけ。
しかも数年すると経年変化で導通しなくなる事もある。カートリッヂの微細な信号を出力する大切な端子である。
そして細すぎるトーンアームの内部配線が同時に頭に浮かぶ。その二つをクリアーする為には、出力端子を外し、細いオリジナル内部配線を外す。
そしてトーンアームの繊細な回転動作に支障のない程度の内部配線をリッツ線で作り、トーンアームの入力端子に気を付けて半田で留めた。
そして、新たに自作した内部配線を、端子の外したところから、長めに引き出した。
そして、キャビネットの裏に片サドルを張り付け、引き出した内部配線をしっかり固定。その端末と新たに製作したリッツ線のピックアップケーブルの入力側の端末と直に半田で留めて、ピックアップケーブルもしっかりボードと固定して終了。
しかし老婆心ながらこれは素人の方が誰にでも出来る芸当ではない。間違いなくトーンアームの入力端子に余計な半田ゴテの熱が加わり、ヘッドシェルの出力端子を押し付けるバネを効かなくしてしまうだろう。こうなってしまったら確実にアームの入力端子はお釈迦である。
そして内部配線は、以外と簡単に抜き取る事は可能だが、抜いたら最後、なかなか交換する内部配線が通らないのである。
これにはやはり熟練した経験と道具、そしてセンスと順序があるのである。
内部配線は色分けされている。赤が右チャンネルのホット(+)で、緑が右チャンネルのグランド(-)、白が左チャンネルのホット(+)で、青が左チャンネルのグランド(-)である。
そして黒い線、これは外さない方がいい。グランドである、入力端子の奥に配線されてる事が多く、外してしまうととても難儀な事になる。
トーンアームの内部配線はとても細く、直ぐに切れてしまう、グランド、黒のアース線だけは特に要注意である。
内部配線交換とトーンアームの出力端子外しはトーンアームの回転動作、音質共に大成功だった。
そして、そこから数年気に入って聞いていた、しかしある日、やはり限界が見えた。YAMAHAのGT‐750はターンテーブルやモーターは優れているが、安価である、残念ながらキャビネットに安いMDFボードを使っている。
これではどんなに頑張り音を構築しようとしても、無駄なあがきである。しかしなかなか優れた木材が見付からなかった。
千葉のIさんが、近所のホームセンターで赤タモの集成材を見付けられ、スピーカーの下に敷いたら結果良好との事だった。
これで私はターンテーブルのキャビネットを作ってみた。ジグソーでオリジナルと同じに加工したが、赤タモの集成材はとても固く切るのが大変だった。
出来上がり聞いてみると、濃厚で綺麗な音になった。そのまま一年も聞いただろうか、なんとなく頼りなく見えてきた。
そのキャビネットの板にチークの角材を張り付け、トーンアームの裏にも3センチの厚さのチーク材をガッチリ張り付け、キャビネットのマスをかせいだ。
そして更にキャビネットの裏に電源トランスがついている。これも本体から取り外し、少し距離をもたせ分厚い荒杉の角材に取り付けた、当然電源ケーブルは1.6㎜φの単線に絹巻きして製造したケーブルに交換した。
これらがどれだけ素晴らしい音質効果に結びついたのか、察していただくしかない。濃く感じていた音は更に静かになる、総ての楽器の音の分離と広がりに作用したのである。
その時初めてCDの音の方向性が本当は優れている事に気が付いたのである。こうである、立派なCDの再生音をアナログにした様な音になったのである。
アナログは、どうしてもCDでは鳴らない鮮やかで細やかな高域を再生出来ると思う。それが見事鳴った感じである。
再生周波数の幅や、奥行きや広がりと実態感やはりここまではCDでは鳴らせない、CDの端正な鳴り方がアナログと合わさった雰囲気の音は実に素晴らしい。
これがウエスタンスピリッツのアナログでござれ!そんな音になったのである。
だから私は皆さんに話す、使ってるものではない、何をどう使い今のような音になったのかそれが問題なのである。
しかし、やはり貴方が選んだそのものが、本来優れた素質を持っていなければ、どんなに努力をしても、ウエスタンスピリッツのアナログサウンドの様にはならないと思う。
YAMAHAのGT‐750には本来、良い音に出来る素質があったから出来たのである。
そして、ウエスタンスピリッツは、ラックとアナログプレーヤーの間に、解像度と音の密度の高い、青黒檀の特殊な形のインシュレーターを敷いて音を構築している。ここは激変するので気を入れて木材を選んで欲しい、間違えてもチーク材では駄目である。
YAMAHAのGT‐750そのままでは絶対に良い音にはならないのである。
もっと話せば、オルトフォンSPUを、ウエスタンスピリッツの話のとおりに、ただご使用になられても、それだけではウエスタンスピリッツサウンドの様には到底ならないのである。
ウエスタンスピリッツのOrtofon SPU A/Eは、Aシェルなので、普通のトーンアームにそのまま装着出来ないのである。
それは何故か?Aシェルは短いのでオーバーハングがとれない、なのでカートリッヂ本体をAシェルから外して、シェルターのヘッドシェルをチョイスして取り付け使用しているのである。
針圧はウエスタンスピリッツでは3.2~3.4gにしてある。いついかなる時に聞いても一番開放的で情報量が多く音が落ち着いているからである。
しかし針圧は同じSPUでも全く違う、個々に使用してるカートリッヂや条件によって違うのである。そこはやはりセンスで補う他はない。
色々書いたが、アナログは個々のセンスが試され、とても面白い。
今目の前でソニー ロリンズのサキソフォン・コロッサスのサックスのリードが乾いていて、とてもかっこよく鳴っている。渋いっ!その一言である。