ホーンを 囲ってはいけない
ウエスタンスピリッツは昔JBLのホーン、2345を使っていました、このホーンのカットオフ周波数は約420ヘルツ辺りだと思います、その為、なかなか弾んだウッドベースが鳴りません。
ボックスは今と同じ形の4560BKAでした、今使用のBKとは少し違い、2345がボックスに取り付けられるようにめくら板がネジ留めされていました、そのためバスレフの位置と形が少し違うのです。
そのめくら板を外すとちょうど2345が取り付けられるのです、ネジの位置は見事2345に合っています、ボックスの作りがそうなっているので、それがオリジナルの付け方だと勘違いしてしまったのです、PA用なので運びやすいようになってるだけでホーンを付けると音は悪くなります。
はめ込んで聞いてみると、今までうるさかったホーンの音が落ち着いて聞こえたのです。
十年程何の疑いもなくそのまま聞いていました、後に師匠となるウエスタン研究家の方に、ホーンはボックスの中に留めたり、箱を作って囲ってはいけないと言われたのです、開放感がなくなるとの事でした。
なるほどウエスタンやアルテックA‐7やA‐5はホーンがむき出しで、ただボックスの上に乗ってるだけです、そして、確かに音は開放的です、そのため女性ボーカルがポンッと軽く浮かんで聞こえるのです。
外してホーンを外し、再びめくら板で塞ぎ、ボックスの上に設置して聞いてみました。
確かに開放的なのですが、やはりJBL独特な薄くて明るくうるさい音になったのです。
師匠に伺ってみると、ホーンの傾き加減や左右のスピーカーの内振り加減で調整せよとの事ですが、なかなかうるささはとれませんでした。
あまりにおかしいので、左右のスピーカーの内振りをやめて水平に設置して聞いてみました。
「おおっ、これだ」その時思いました、団子のように絡まっていた音はスピーカーからはがれ、綺麗に分離したのですがまだうるさいので、ホーンの高さを後ろのドライバーの下で調整しホーンを水平にしました。
うるささはなくなりました、当然ホーンの前後も聞きながら位置を合わせました、これは位相合わせであまり音質とは関係ないようです。
この頃からホーンスピーカーの難しさと、オーディオが少しずつ分かって来ました。
そして、沢山のホーンやユニットを使ってみました。
見事、泥沼にはまりましたが、ウーハーは130AでドライバーはLE85に落ち着きました。
今ではホーンはコーラルAH‐500です、ツィーターはエール音響のベリリウムタイプです。
当然ホーンはボックスの上にむき出しで、何処にも留めず水平を保っています。
二本のスピーカーも左右平行に設置しています。
ホーンの置き方一つでこの有り様、オーディオとは実に難儀な趣味です。
オーディオのやり方も使ってる機材も千差万別、ひとくくりには出来ませんが、ホーンはボックスに留めたり、箱を作り囲ってはいけません。