千葉のIさんご訪問
暫くぶりである、前回ご訪問されてから、一年半は経っている、そして私の左手の平が痺れてから連絡をとっていなかった、私自身健康管理が駄目で悔しかったからである。
Iさんはその間ずっとご使用されてきたアルテックの620のボックスから決別され、ウーハーごとエールに取り替えたらしい。
まだエージングがすんでないので、ウエスタンスピリッツの音を聞かせてほしいとの事。
となれば善は急げ早い方がいい、早速ご試聴願った。
さてどうなるでしょうか。
試聴はCDから始まった、Iさんはクラシック党(バロック好き)である、先ずはここから。
「帯域バランスは整っているとは思うが、もっと低音が欲しい」との事。
思っていたとおりである、しかしジャズのレーベル(ビーナス)を聞くと「やっぱり活き活きしている」との事だった。
言いたい事は瞬時に分かった、私が「でもエールと比べ低音がないでしょう?」と聞いてみた、Iさんは一言「うんっ」とおっしゃった。
ようするにクラシックコンサートで聞く、コントラバスの帯域が足りないとの事だった。
Iさんの導入されたエールのボックスとは、ウーハーが38センチで容積が370リットル、理想の容積である、しかも理想の密閉型である、理論的に話せばウエスタンスピリッツは、絶対に太刀打ち出来ない。
そして、少し休憩し色々話した、ウエスタンスピリッツの今の音とは、徹底的に余計なもの(付帯音)を排除しようとした音の方向である。
今回のアナログの試聴はモノラルを聞いてみたいとのIさんのご要望だった「暫く使ってなかったイコライザーを繋がなければならない、大丈夫かいな?」私は思った。
何とか繋げたがノイズが出たので、配線をやり直し繋がった、少しの慣らしを経て聞いてみた。
モノラル再生は時代やレーベルによってレコードのリアカーブが違う、これを標準化するのがこのイコライザーなのである。
聞いてみた「やはり駄目か?」初めはそう思った。
しかし、二枚目からは俄然鳴りだした「やはりモノラルはイコライザーでリアを補正し正しく鳴らさなければならない」そう思った。
三枚位聞いた後、Iさんはこう話した「何も意見はない、良いと思う」私も自分なりに良いと思い聞いていた。
Iさんはこう話した「エールの音は優しく穏やかな音」これは逆に私の好みである、それに比べウエスタンスピリッツの音「再生帯域は狭いが、モノラル時代の音を残し、そこがモノラルの旨味を引き出しているのではないか?」
エールの音とはダイナミックレンジが広くなった分、歪みはないがウエスタンスピリッツのような濃密な音はない。
しかしウエスタンスピリッツの音には、本当のクラシックコンサートのようなホールトーンのような雰囲気はあまり感じない。
その通りだと思ったが、私はエールの音が多分好きだと感じる。
しかし、我が家にエールは入らない、天井もリスニングポイントも無理がある、そして思った「オーディオに答えはない、やはり部屋の形と容積と距離である」そしてかけるソフトはシステムが選んでいる。
クラシックが聞きやすいエール、モノラルが聞きやすいウエスタンスピリッツのJBL。
どちらも正解で、どちらも不正解だと思った、つまりどんなにやっても万能なものはないと思った。
お互い狂ったようにオーディオにのめり込んできた仲なのである、でもそこそこの答えは出た「オーディオは結局願ったような音になる、しかしどこにも答はない」これが今回の結論。
私はIさんからモノラルのご試聴を要望された時、かなり否定的だった、しかしひっくり返ってしまった、Iさんはウエスタンスピリッツの鳴り方を理解していたのだと思った。
Iさんのエールを聞くのが楽しみである、Iさんご試聴感謝いたします。