ウエスタンスピリッツケーブル2
前回のウエスタンスピリッツケーブルでもお話しした通り、ウエスタンワイアー0.6mm(これは単なるブラックエナメル被膜ではない)を四本束ねシールド、グランドは日本製の1.6mmPEW単線一本シールドなしに決定し、それがリッツ線の雛型となった。
ではリッツ線の理論、電気は高い周波数になる程(実際は総ての周波数)素線の表面を流れようとする性質がある。
何故その様になるのか、隣あったグランド線と反発しあい、磁界が発生する、その時、素線の中心にいくほど抵抗値が高くなるためである。
素線は普通丸い円のような断面をしている、例えば1mm単線の断面積は1mmでも表面積は約3.14mmである。
出来る限り、被膜線を細くして沢山束ねた方が、断面積は同じでも表面積を稼げるとの発想で作られたのがリッツ線である。
ウエスタンスピリッツには雛形があった、これをリッツ線の理論に当てはめたのである。
しかし、いくら細い線を沢山束ねると言っても、用途はオーディオ用のケーブルである、再生音にも細さの限界があると私は踏んだ。
色々な細さの被膜単線を購入してはケーブルを作り、細さの限界を見つけた、0.12mmである。
それをリッツ線に置き換えた、先の0.6mm単線と同じ断面積にする為には、0.12mm単線が25本と電卓では出てきた。
しかし実際計算どおり作ってみても、どうにも納得いかないのである。
増減を繰り返し0.12mm単線を27本と決めたのである、つまりこれを雛型の単線一本と定め、これを四本捩り、リッツ線は完成したのである、実に根気のいる作業だった。
当然シールドはリッツ線のみ、グランドは1.6mm単線一本である、これらを絶対平行に保ち、絹や麻糸で強く締め付け綺麗に巻いて作るのである。
そして端子や半田にも拘っている。
リッツ線は究極のケーブルだと思う。
闇雲に進んでいたら未だに答えはなかっただろう。
ケーブルやトランスは正に魔物だと思う。
リッツ線が完成するまでに四年の月日が流れていた。
ブログに書ききれない程、色々やってみた、そしてリッツ線はやはり素晴らしい理論のもとに編み出されたものである。
初めは高域にしか作用しないと思っていたリッツ線は、実は全帯域にその効果があったのである。