母とのお別れ
このお話はゴールデンウィーク前日の昨日のお話です。
遂にこの日が来た、アルツハイマー型認知症の母を施設へ連れて行く日である。
家内も私も度重なる介護に精魂尽き果て、正直クタクタになった、最近、母はおかしな事ばかりやっている、その行動の意味をずっと考えて来たが、理解不能である。
とても悲しいがこれがお互いの為であると悟った、既に走り回り準備は整った。
何度も伝えてきたが、やっぱり母は施設に入ることを全く理解していなかった、大変だが騙してでも連れて行くしかない。
やってみたら分かりますが、認知症の方を家から連れ出すのはとても大変なのです、ホームセンターならば楽で楽しく喜んで行くが、デイサービスや美容院や病院などはめんどくさいのだと思うが、間違いなく行かない。
しかし、施設との約束がある、母はどう考えてるのか分かりませんが、世の中は総て約束事で成り立っているのです。
こうなる事は想定内だった、認知症とはそういう病気なのである。
誰だって自分を生んで育ててくれた親を、独りきりで暮らす施設へなんか入れたくはない、しかしこのままでは私が母に手をかけてしまう、結局、これがお互いの為なのである。
「天気が良いからホームセンターへ遊びに行こう」と連れ出すつもりであった、でも失敗に終わった。
家内がこう言った「一旦クールダウンしよう」と、そして二階へ上がり、ネットで認知症の人を家から連れ出す方法を検索してみた、その方法とは、こう話してみた。
「以前、主治医がいたよね?その先生が母さんは出来るだけ外へ行くといいよと言っていたよ」と伝えたのです、すると嘘のように母は支度を初めたのです。
もう神頼みです。
そしてやっと車に乗せる事が出来たのです、これは主治医とう圧倒的な自分より目上の人の意見だと母に伝える為です。
認知症の方は独特なプライドを持っているから聞いてくれたのだと思います。
時間はかかったが、なんとか車に乗せる事が出来た、後はこちらのお手のもの、我々は朝から何も食べてはいないが、そのまま家からかなり遠い施設まで連れて行ったのです。
そして無事施設へ着きました、母はすんなりデイサービスのお部屋へ入って行った、やはり他人の言う事は取り繕うので聞くのである、母は二時間後、早速、施設の中で友達が出来たらしい、大きな元気な声で話してる声を確認して、会わずに帰ってきた、里心がつくからです。
とりあえず後はお任せできるので、我々の母の介護は終わりました、疲れた、少し休もう。
母さん、皆さんの言う事を聞いて、穏やかに過ごすんですよ、そしてこれからもただ一つ、ずっと変わらないのは、母さんは私の母で、私は母さんの息子です。
これが認知症介護の限界であり現実です、お互いの為に一番の方法なのです。
同じ境遇の方へ、一言言いたい、独りで悩まないで、あなたは独りじゃない、必ず助け船はあります、我々がそうだったように…
認知症介護は一人では絶対に出来ません。
最後にもう一つお伝えしておきたいことがあります、認知症の方と接する時に正面から目を見つめて話してはいけません!!目から心に入ってしまうのです。
私はこれからケアが必要になってしまった程です、認知症の方の目と言うのは、こちらの心の中に入ってしまうのです。
必ず横から見つめるようにしましょう、元は親であってももう違うのです。
父と母と四人で、もっともっとたくさん遊ぶつもりだった、結局は何にも出来なかった。
後悔した時に親はなし…