ネットワークの部品どうしを半田で留めた。
簡単に繋げ次の日の朝に聞いた音は、清らかでいい感じに鳴っていた。音の芯や奥行き広がりその品位が高く自然で、再生音とは思えなかった、とうに忘れていた筈の懐かしい音がする、思い出せないがとこかで聞いた事のある優れた音だ。よしっこれに決定。
そして部品同士のワイアーの引き回しや部品の位置を決めながらインシュロックで部品を留めていく。
その前にインシュロックを通す穴をあけるドリルの刃のサイズや、ボール盤やその他の工具を手入れし総て分かりやすく整えて並べ揃えた。
さあ、いよいよ勝負である。半田は市販されていない特殊な、音の為に優れたものを購入してある。半田ゴテもしっかりしたものを購入してある。遂に役者は揃った。
写真はドライバーのネットワークの全体像です。ウエスタンスピリッツのネットワークは6dB/oct(-3dBクロス)です。板は、ウーハー、ドライバー、ツィーターと各々個別に分かれていて1.5㎜厚のチーク材。それをスピーカーの後ろの壁に吊ってある。
次の写真はハイカットコイルの入力とコンデンサーの出力を半田したところです、銅箔を折り曲げてコンデンサーのワイアーにしっかり隙間なく巻き付け、端と端を半田したところです。半田は見事裏側に迄綺麗にしっかりまわった。
次の写真はハイカットコイルのアウトと固定抵抗の入力R-1に繋いだところです。こちらも先ほどと同じように二ヶ所半田で留めた。
銅箔は、薄い為こうしないと半田ゴテの熱が伝わらず、後に接触不良をおこす事になる。他にも上手い付け方があるだろうが私は今回はこれで決めた。
次はR-1の出力側とR-2の入力を半田で繋いだところです。作業は終わった。
そして使った工具を手入れして、総て元あった場所に治め、掃除機をかけた。
そして繋ぎ、パワーアンプの電源を入れて、消磁のCDを三回再生した後に、エージングのCDを頭が痛くなる程大きな音量でリピート再生。そして階下へ二時間避難。スピーカーが壊れないかちょっと心配な音量である。ボリュームは約半分、100dBの能率から鳴るその音量は強烈である。頭がクラクラした。
さて二時間半後、音はどうだろうか、ここから丸三日、金属的には繋がっているのだが、半田は時間をかけてじっくり融合する為に、なかなか上手く繋がらないのである。
しかしもう部品定数は合っているはずだし部品の品位も高い。やっと、みのむしクリップが、スピーカーケーブルと繋がっているところ以外、総て外れた。
ラベルのボレロをデュトアの指揮で聞いた。キラキラした複雑な旋律の管楽器の音は、後ろの方にやはり小さな音で入っている、今までは聞こえなかった、これが同じCDなのかと思える程である。
みのむしクリップは確かに安易な留め方だが、それで音を確かめ、それから半田でしっかり留めるのは大切な事である。
素敵な広がりと圧倒的な奥行き感と膨大なエネルギーを感じ、それでも尚、音は全くうるさくならない。
それと、部品をしっかり留めると言う事は、電磁誘導により部品が動こうとするのを抑える事が出来る為。シャラシャラした所がなく、細かい音まで距離感をもって見張らせ良く聞ける様になる。
どんな音も埋もれる事はなくなった。これは大変な進歩だと思う。
音の分厚さがかなり変わっている、同じ分厚くてもそこに動きがあり色があり、質が全く違うのである。
後は日増しに上手く繋がり溶け込んでいくだろう。
インパルのマーラー:交響曲五番は、申すところはない位素晴らしかった。DENONのPCM録音、ワンポイントステレオマイクロフォンのなせる技であろう。奥行きが素晴らしく冒頭のトランペットの音がたまらない。
マーラーの五番には意外と名盤がない。インパルの指揮の解釈はシンプルで、聞きやすく優れていると私は思う。ご自分のシステムがちゃんと鳴っていないレコード評論家の言葉など私は聞きたくもない。
ちゃんと鳴ったJBLは、クラシックが雄大で荘厳に鳴る。鳴らない普通のJBLが、ジャズを選んでいるのである。貴方がジャズを選んでいる訳ではない、鳴らないJBLがジャズを選んでいる。
しかし、突き詰めればクラシックの鳴らないJBLはジャズも真には鳴らないと言う事である。
私はずっとそう信じていた。やはりそうだったのを確認出来た。
若い頃大人に散々言われた、「突き詰めればJBLは鳴らないスピーカーだ」と、そんなことはない。
私はよく仲間に「JBLなんて単なるブランド志向だ」と言われた。でも一過性のただ流行りでオーディオをやっていた訳ではない。そんな事を私にだけは言ってほしくなかった。
つまり、その答えをだす為にオーディオをやって来た。ジャズむきクラシックむき等そんなスピーカーやアンプなどどこにも存在しない。そして色んな音楽をたくさん聞きたい。そしてその真実を知りたい。
オーディオやっててソフトが何十枚しか持っていない。その様な人と出会うと、正直げんなりする。機材が高価で、名盤だけしかないからそれで良いのだそうである。
何にも知らないだけである。それではシステムの調整すら出来ない。実際に聞いてみたが音も大した事はなかった。
話を戻そう、聞いてて更に鳴ってきた。音の抜けが良くなってきた、まだ音はスピーカーから剥がれたとは言えない。しかし、楽器は鮮やかに柔らかく分離してきた。
ホルンの音が凄い、こんなに太く、雄大に、柔らかく、優しく、分厚く、掴めるように鳴った事は一度もなかった。
ファーストインプレは大成功をおさめた。と言っておこう。やはり品位の高い部品は最初から全く違うのである。
そして良い音は、CDやレコードにちゃんと録音されている。それを鳴らせば良いのである。しかしそれが難しいのである。