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この記事は、2018年11月7日に、FC2ブログからこちらのサイト(https://we-spirits.jp)へ
移転したものです。

恩師から預かったトーレンス124が蘇った




本当に見事に蘇った、届いて回してみたとき驚いた。十年間眠っていたとは聞いていた、しかしあまりに重症だった。

目の前が暗くなり簡単に引き受けた事を後悔した。先ずはターンテーブルがストッパーと擦れている。ゴロどころのお話しではない。

トーレンスTD124は,ターンテーブルが二層になっている。なので素人考えではあるが、二重に重なっているターンテーブルの下の重いターンテーブルの上に、試しに3㎜程の厚さの平ワッシャーを並べて軽い方をのせて回してみた。滑らかに回った。

しかしターンテーブルは水平に回らない、ワッシャー一つ一つの厚さが正確でないのと、円が小さいからである。

銀行に10円玉を持って行き、新しい1円玉に交換してもらい、それをターンテーブルに敷いて回してみた。流石日本銀行製造である、ターンテーブルは見事水平に回った、しかし、今度は上に重なるターンテーブルが滑る。一円玉がスベスベしていて固定してないからである。

それと、まだ僅にゴロが出る。一円玉が固いからである。考えた、そして名案が浮かんだ。椅子などの足の底に張る滑り止めシート(少し固いフェルト)である。椅子や家具は設置に水平を気にする為安価で、以外と厚さが正確なのである。

そして適度に円の大きさも一円玉より大きく、適度に柔らかく固い、そして張り付けられ、嫌ならば直ぐに剥がせ復帰出来るので、好都合である。上にのるラバー付きのアルミ製のターンテーブルは泣きが止まり水平に静かに回った。

しかし3㎜程浮いた為、ストッパーは効かなくなった。現状を恩師にお伝えすると、動作に支障なく、音が良ければ構わないと返信がきた。

これでゴロは解決した。アイドラー周りはターンテーブルの内側も含めて総て無水アルコールで何十回も脱脂した。回転も強く蘇った。

そしてセンターシャフトを外してみた、ベアリングは大丈夫。やはりトーレンス124は素晴らしい。

さていよいよここからである。キャビネットがメタメタだった。何の拘りもなく穴を空けてノコギリで切ったのだろう。しかし位置決めが困難なターンテーブルを留める四つの穴は、ほぼ正確に空いていた。

その穴あけは参考にするとしても、薄い積層合板は頂けない1㎝も厚さがないのである。それを2㎝程残し、ジグソーで真っ直ぐに切り、その上から2㎝厚のMDF木材を張り付ける事にした。

専門的な工具はないが何とかカットと穴あけ加工も出来た。さて更にここからである。

届いた時は四本のボルトはキャビネットと留まってなかった。ただ留めるのでは意味がない、キャビネットから突き抜けたボルトに、銘木青黒檀を噛ませ更にバネワッシャーと六角ボルトで留めた。こうする事により合板の品のない音が消えて青黒檀の響きになるからである。

アームベースは、前回お話しした銘木ウェンジュである。お互いが相互干渉しあい、よき響きとなるだろう。

そして、キャビネットの底はこのままではべた置きになるため、そこにアフリカ黒檀の3㎝角のキューブを三点で、やはり真ん中に穴を空け、ネジが頭が黒檀キューブより中に入る様に面取り加工して、キャビネットの板に六角ボルトで留めた。

さて、いよいよ音出しである。カートリッヂは恩師所有のオルトフォンのコントラプンクトbである。カンチレバーはルビーみたいである。とてつもない勢いのある低音である。しかし甘さが全くない。正に構えた対決姿勢の音である。

どんなレコードを聞いても実に濃厚な音で、レコードレーベルの差を見事に鳴らし分けた。スクラッチノイズやレコードの反りが見事に鮮やか。

トーンアームはオーディオテクニカAT-1005Ⅱである。やはり素晴らしいトーンアームである。感度が高く、反応がとてもが早い。

オルトフォンのコントラプンクトbは現代の名機だと思う。私のSPUとほぼ肩を並べるとは思ってもみなかった。針圧は2.53gで聞いた。

本機はSPUに比べ、僅に出力電圧が高い、そこも影響している。音が小さければボリュームを上げれば同じと話された方がいらっしゃる。私は違うと思う。

入力側のインピーダンスの値にもよるだろうが、カートリッヂの出力電圧は、音になにがしかの影響があると思う。

私はずっとそれを追いかけ解明しようとして来たが、未だに原因は分からない。とにかくアナログは並大抵な事では良い音には鳴らない。

もう世間のアナログ等チーチーパッパである。先ずアナログを上手く鳴らそうと思ったらキャビネットの下に付いているゴム足やプチルゴムを総て取り去る事である。

柔らかいものの上に機材を置くと、エネルギーロスを起こし、音は甘く跳ねたような、うるさく品のない音になる。

固く響きの良い固体の上に機材を置くと音は、センス良く決まれば極上の響きとなる。

多分恩師は、鳴った音に喜んで呆れ、ただ笑ってしまうだろう。凄い音が鳴った時、人は、驚く前に大声で笑ってしまうのである。

今までの私の様に。

恩師から預かったトーレンスTD124は、見事に蘇った、そして三日間試聴し今日発送した。

届いたら私がアームと針圧計を持参し、セットし細かく微調整する。さてどうなるだろうか。

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