櫻井洋一さんのサウンド
暫くメールや電話だけでお話ししてきました、期待は膨らむばかりとてもワクワクして伺いました。
櫻井さんはただ雑誌に紹介され意味もなくたくさんの高級オーディオシステムを揃えている訳ではない、その総てには意味が込められています、若い頃から徹底的にジャズしか聴かない、録音された当時のまま巨匠達を部屋に降臨させ、かぶりつきで聴いてるような感じを楽しみたいその強い思いで、まだ景気の良かった頃揃えたシステムを買い換える事なく総て大切に使い込んでいらっしゃる、とにかくジャズへの拘りが半端ではない、そして最近の海外の若いミュージシャンの演奏もしっかり集めて聴いていらっしゃいます。
初めて聴いた時こう思いました『随分ご苦労されたんだな、私などまだまだ青い』と、並みの音ではないのです、みなさん自分では購入出来ないからか色々妬みで評価されたり貶される方もいらっしゃるみたいです、しかし櫻井さんの鳴らした音には人生が滲み出ているのです、写真だけで判断出来ない素晴らしい音です『今まで色々な方が訪問されたが誰も本当の意味でオーディオと音楽を理解していない』これが櫻井さんの口癖で、50年かけて構築されたオーディオなのです。
ジャズしか聴かないのにはしっかりした理由が存在します、クラシックの歴史も当然ジャズの歴史も深く時代背景と共に勉強され深く理解されています『これだけ鳴っているのにクラシックを聴かないのはもったいない』そのような言葉は櫻井さんには不要で野暮なのです。
アンプはボンジョルノ設計のものがほとんどで、その音は総て絶妙に使いこなされ、見事としか言えない、これは余計な事ですが、私は自分以外にオーディオをまともに鳴らす人はいないと思っていました。
しかし櫻井邸で聴いた時一瞬で感じました『狙うところがどこか似ているけれど経験から来る絶対的な何かが違う』と、そして櫻井邸はスピーカーの上にたくさん人形などが置いてあります、それを見ただけで世間のオーディオマニアは『あれでは駄目だ』そう思うはず私も初めはそう思っていました。
しかし櫻井さんはこう仰いました『全部外すと髪の毛がなくなってしまったみたいな鳴り方になった』と、私はその言葉で何となく理解出来ました。
私の個性的な消去法的なオーディオと、櫻井邸のオーディオは全く方向は違えど、個性的という点ではどこか似たように櫻井さんも感じでおられるようです。
今回もやはり一貫した鳴り方で違和感はなく立派な音楽を聴けました、オーディオは見た目だけでは分かりません。
東京都23区内に30畳の徹底的に拘り抜いた櫻井さんの地下のオーディオルーム、この部屋があれだけの音を鳴らしたのは間違いない、オーディオはそれだけではないがやはり部屋が大切だと思います。
しかしオーディオ機材が多い為、その30畳の部屋が実際より狭く感じる程です、昨日はJBLパラゴン、ジンガリ、ウエストレイクをじっくり聴かせていただきました。
驚いたのはSUMOのCDプレーヤーの音の素晴らしさでした、この機材の設計者はボンジョルノではなく、マイケルカスターだそうで、アナログと遜色ないほど素晴らしいものでした。
私は何時もオーディオは使っているものの差ではないと語って来ましたが、櫻井さんのセンスで鳴らすと『やはり使う人が違うと機材の差もある』そう言わざるを得なくなりますね。
櫻井さんは『色んな人をお呼びし聴いていただいたが誰も音楽と音を理解してくれなかった、もうお呼びする方を選ぼう』何時もそう寂しそうに語るのがとても印象的です。
私もまだまだ櫻井さんの経験値には遥かに至りませんが、今後とも宜しくお願い致します、昨日はお忙しい中私のような若輩者の為に貴重なお時間をさいていただき感謝致します。
また伺います。