ヘッドアンプを通さないMCカートリッヂの音。
静かな、夜の静寂に浮かぶ様なピュアなサウンドを聞いてみたくなりました。
昔、瀬川冬樹と言うオーディオ評論家がいました、彼はボリュームを殆ど上げずに実に小さな蚊の鳴く様な音でオーディオを聞いていたそうです。
私の気に入っているカートリッヂ、デノンDL-103は、ヘッドアンプを通さずに、CROWNのプリのボリュームを一番下から一つ目で聞いたら、どの様な鳴り方をするのだろう?
一度夜中に聞いてみたかったのです。
実に静かでピュアなハイエンドオーディオの様な音がしました。
ある意味、レコード本来の録音された時代がハッキリ分かる気がします、それとカートリッヂがもつ本来の音が良く分かる気もします。
力なく地味な音がすると思いきや、逆に静かな中に埋もれているダイナミックレンジを私は感じました。
昔から気付いてはいましたが、普段からボリュームをあまり上げて聞いていると、確かにあまりよろしくないようです。
私はこう感じます、普段ボリュームを上げすぎていると、上げないと満足出来なくなっているのだと、みなさんボリュームの上げすぎに注意しましょう。
これは、日々の食事と一緒なのではないでしょうか?早く急いでたくさんお腹に詰め込まないと、食べた気がしなくなる、それと似ている感じです。
これでは当然いつか病気になります。
大きな音は確かに魅力的ではありますが、時に近隣の人に迷惑をかける事もあるかも知れません。
私はこう考えます、自分が良いと思って聞いている曲は、誰もが好きな曲ではないと言う事です。
嫌いな人からすると、その曲を、ましてや爆音で聞かされるとなると、拷問以外のなにものでもないと言う事になります(笑)
この例は極端ですが、オーディオではよくある、笑える話です。
つまり、本人だけが、そのボリュームでなければ我が家は良い音に聞こえないと勝手に舞い上がっている状態ですね。
それはいささかおかしい。
今聞いているヘッドアンプなしの小さな音は、じゅうぶんに美しく、鋭い音も本当に低い低域も有り余るほど再生出来ています。
私のシステムはやっと、ボリュームを上げても殆どのレコードをうるさくなく鮮やかに静かに滑らかに、再生出来る迄になりました。
本当に優れたオーディオ装置は、ボリュームを絞った時にこそ、本領を発揮するのではないでしょうか?
ボリュームの上げすぎは、何かが吹っ飛んで、真実の音とは違うと感じました。
特にそれを感じるのは、女性ボーカルです。
躍動感みたいなものは確かに少ない気もしますが、そうではないと私は感じました。
そうです、上質なヘッドフォンの聞こえ方に似ている気がします。
しかし、この鳴り方を昼間のボリュームレベルで鳴らすのにはかなりの努力が必要ですね…
昼間にヘッドアンプを入れずに聞くとそれはまた別な世界があります。
今の音は、まるで昔何処かで僅かな小さな音で聞いた、クォードESLの様な音です。
素敵な音でしたよ…
伝説の野外ライヴ、ウッドストックでジョーンバエズが唄ったジョーヒルが最高でした。