私がオーディオでおこなっている様々な実験
私は、オーディオを上手く鳴らす為に、ここ三年間色んな実験をたくさんしてきた。
実験と言うよりは、今振り返り考えてみると、むしろ調整になっていたと思う、そして、その実験の結果を、自分の感じたまま、嘘偽りなくこのブログで公表しようと決めた。
みなさんご存知の様に、JBLはなかなか上手く鳴ってくれない、実験してゆくと、システムの色んなところに次から次へと不備が見つかり、それを一つずつ潰してきた、そんな感じだ。
聞いていて気になった違和感を、総てノートに書き出していく、そして、一つずつ、どうすれば対処できるか、判断してなおしてゆく、その結果、はじめのうちは、大体が的はずれ、私は余計なもの(絡まった配線や余計な配線も含めて)を外し、どんどんシンプルにしていった、そしてその結果たった一つの答えがでた。
JBLであろうと、どこのメーカーのスピーカーだろうと、ちゃんとやればちゃんと鳴る、ただそれだけだ。
JBLが特に難しいのではない、JBLは敏感なので、他のメーカーのスピーカーよりも粗を出すのかも知れない、そう思う様になった。
そして、悪い実験結果になった時、では何故?と考え、接点処理の仕方や配線の取り回しなど、部品の品位も含め、シンプルにしっかりさせていった。
その結果、音は少しずつ、まともになっていき、今までは、絶対にうるさくて聞けなかったジャンルや、レコードレーベルが、殆ど楽しく聞ける様になった、ついさっきまでうるさくて聞けなかったレーベルが、楽しく聞けるのだから、錯覚や思い違いではない、しかし、そこからまた時間がかかる、だからオーディオは難しいのだ。
そして、それに気付いてから、私は、少しずつシステム全体が見える様になっていったのである、多分シンプルにしていったからだと思う。
中でも、一番難しかったのが、やはりネットワークである、これは千差万別、色々な、お考えが世の中にはあるとは思うが、メーカー製のスピーカーシステムならばそんな事は確かに少ないだろう。
それに対する私の考えはこうだ、自作ネットワークは今現在のシステムの鳴り方をカバーしているのではないか?つまり、まだ決まっていないので不安定(誤魔化しや逃げ)なのである、カートリッヂやケーブルやセッティングで作られた鳴り方の現在のトータルバランスでの不備を、ネットワークがカバーした感じなのだ、しかし、鳴り方が変われば、少しずつ粗がでて、いつか化けの皮が剥がれる事になる。
つまり先の状態では、鳴らすソフトや、ジャンルやそのレコード会社のレーベルや、ミキサーの録り方や定位の差に、かなり鳴り方の違いがある事になる。
私は実に不満だった、はじめは音の悪いレコードがあるのだと思っていたが、やがて疑問をもった、店頭で色んなスピーカーを切り換えて、市販のスピーカーシステムを聞いても、ソースを変えても、そんなに違和感は感じない、しかし我が家のスピーカーには歴然とした違いがあった。
自分に自信があり、俺のシステムは上手く鳴っていて、録音の善し悪しを炙り出し、そこまで芸術的に鳴らすのだ、等と思えられれば幸せな人生だろう。
しかし、自ずと真剣にオーディオを極めようとするならば、そうでない事が分かってくる、誠にショックだったが、私のオーディオは、これが心底、理解出来た辺りから、かなり進化した気がする。
そして、先ずはこう思った、私のスピーカーシステムはスリーウェイである、その中のどこかの周波数が、いつも強く主張していた、特にドライバーだった、試しにウーハーもツィーターも繋げず、ドライバー&ホーンだけで800Hz~5000Hz迄のネットワークに繋げ、聞いてみた、ところが、あれほど主張していた筈のドライバーの音は、それだけでは、モワモワした音で、全く音楽にも音にもなっていない事が分かった、少し遅いが、私はそこで初めて気がついた、ウーハー、ドライバー&ホーン、ツィーターそれらが、カットオフ周波数以外の倍音で繋がっているのだと。
さて、それが分かれば簡単に出来そうなものなのだが、これが、なかなか上手く繋がらない、ドライバーやツィーターのレベル調整があるからだ、当たり前だが、調整がドンピシャ合うには、ウーハーとドライバー&ホーンとツィーターの前後の設置位置の関係がある事も分かった、ユニット間の前後の位置は立派な位相管理の精度となる訳だ、しかし、この設置場所を見付けるのは、雲を掴む様なものだった、振動板の位置を合わせるなんて簡単な作業ではなかった。
でも、それがしっかり決まれば、今度はまたユニット間のレベル調整がずれる、カットオフ周波数もずれる事もある、その関係はとても難しく、メーカーが公称としている能率は全くあてにならないと言う事もある。
だから、ネットワークは、エンドレスの地獄の一丁目となる、しかし鬼のように実験してゆくと、やがて答えは少しずつ炙り出される、私は何とか、まだ完璧とは言えないが、上手くバランスさせる事が出来た。
しかし、更にその上が存在するのも事実だ。
オーディオは色々あるが、基本は忠実に、最後まで手を抜かず、諦めず、しっかり組み上げていくのが大切である、鳴らないのではなくて、上手く鳴らせないのだ、ちゃんとやればちゃんと鳴る。
貴方が、ある程度の装置をお持ちならば、それらがちゃんと調整出来ているのならば、オーディオは接点をシンプルにしっかり留める事と、スピーカーのセッティングとベストなケーブルで必ず、上手く鳴る筈だと思う。
しかし、先に書いたように、あまり差が出ないからといって、メーカー製のスピーカーシステムが総てにおいて、自作よりも優れている訳ではない、それはあくまでメーカーが定めた鳴り方であり、マニアはそこを飛び越えたいのだ。
いくら、カタログに書いてあるスタジオに納入された実績のあるスピーカーシステムでも、一般のオーディオショップに納めているものとプロ機は、全く別のものだと知ってほしい。
スタジオはプロ機と称されるものを導入しながらも尚、私と同じようなやり方をしている、決してメーカーが、スタジオ用に納めたままスタジオが使っている訳ではない事をお断りしておく、必ず微調整はやっている。
しかし、スタジオの音と言うのは、旨味のないつまらない音だ、無味無臭で、ただただ正確なだけだ、それはモニタースピーカーの宿命だ、聞きやすい良い音とは違い、耳を縛り、市販になったソフトを正確に商品化するための音作りだ、使用目的が全く違うのだ、以前私の鳴らす音は、スタジオモニターの、それに近かった。
でも今は違う、聞いた人が楽に楽しめる音作りになっている。
それが標準の家庭のオーディオだと私は思うからだ。
その為に私は、やり過ぎない(いささかやり過ぎたが)程度に、己の出来うる限り、余計な共振を抑え、無駄に長いケーブルも短くして、絹で被服を作り、共振を抑え、排除してきた、左右のケーブルの長さもほぼ均一にしている、そして接点も減らし、端末処理も半田でシンプルに、しっかり留め、小まめに端子の清掃を行い、出来るだけエネルギーロスを減らし、今の音になった。
しかし、私の頭の中では、今の音は山登りの中腹辺りである。
本当に凄い音とは、ゾッ!っとはしない筈だ、凄い音が何の抵抗もなく軽々と鳴るのだろう、と勝手に思っている。
だからこの実験は、まだまだ永遠に続く事になる筈だ。
私が思った鳴り方になるまで。
その音とは、スタジオの様に定位が性格で、いついかなる時も、いかなるレコードを聞いても、楽しく楽に聞ける鳴り方の事である。