インサイドフォースキャンセラーのウエイトを自作
私のトーンアームはオーディオテクニカAT-1005Ⅱである、当事13400円で、実売は秋葉原でだいたい12000円位であった、今の貨幣価値からするとかなり安く感じるのだが、それが四十年前となると、その金額はかなりの値段だった事になる。
今でもそうだが、日本の工業技術はかなりハイレベルだった、この精度でもし今同じアームを作り販売すると、間違いなく17万円は下らないであろう。
では話しは本題へ、私は今までなんとか使いこなしてきたDL-103の、音の立ち上がりに疑問を感じ、昔使っていたオルトフォンSPU A/Eを工夫して再び繋いでみた、あまりの音の違いに驚いたが、アームをもっと緻密に調整して使いこなしてみたくなった、SPUのベストな針圧は、みなさんご存じのように3gである、暫く使ってなかったので、三日間は3.5gかけてたくさん聞いていた、本来このアームには2g迄の針圧のインサイドフォースキャンセラーウエイトの他にもう一つ1gのねじ込み式の小さなアダプターがあった、私はそのサブウエイトをなくしてしまったのである、さてどうやってオリジナルウエイトの重さを計ろうか?
たまたま宝石の鑑定に使うデジタルの計りがあった、計るとオリジナルは2.15gだった、とするとサブウエイトを合わせると、3.15gとなる、それを鉛の板を切り出し、なんとか3.16gで作った、なぜ3.16なのか?私はこのアームの内部配線を0.3㎜単線に取り替えてある、極僅かに取り替えた内部配線のテンションがかかっている気がするので、僅かに高くしてみたのである、前回はテグスでなく、絹糸だった、インサイドフォースキャンセラーウエイトを吊っている絹糸は動きは滑らかだが、上下に動く時に絹糸自体が捩れているので、どうしてもウエイトも一緒に回ってしまう、どうしても気になったので、やはりテグスにした、オリジナルより少し太いのしかなかったので0.25㎜のテグスを購入してきた、おあつらえむきにバーと同じ位の、焼鳥の串があったので、それにテグスを軽く二回結び、アロンアルファを結んだ所に軽くちょんっ!と付けてフィニッシュ、なかなか上手く出来た。
聞いてみた、音が全く揺れなくなった、やはり僅とは言えウエイトは回ってはいけない、見ているとテグスに吊られたウエイトは全く回らない、今度は少し良いようだ、それにしてもウエイトの重さはシビアなものだと改めて思った、前回は3gだった、今回僅かに増えた重さは、0.16gで合計3.16gである、音の広がりや奥行き、楽器の定位は確かに違う。
SPUはまた更に新たな音を鳴らした、聞いていてその差は僅な違いなのだが、こんな細かな「こちらの方がちょっと良い」がたくさん重なり、音は作られていく、止まっていてはいけない、小さなこだわりは大切だ。
この細かな違いがしっかり分からないとオーディオは出来ない、何度も話すが全く世界が違う、分からない訳がない。
インサイドフォースキャンセラーは大切な機能だ、なくても平気と話す輩もいるが、ちゃんと決めた方が間違いなく良い、しかしまだテグスが微妙に太い、もう少し細くしなければ…