絹糸被膜の表皮効果
絹糸は現在、私が知りうる総ての天然素材の糸の中で、多分一番静電容量が少ないオーディオケーブルの被膜素材だと思う、他にも綿や麻など色々あるが、オーディオケーブルを色々作ってみて、絹糸が私には音質が一番自然に感じる。
以前の私は、静電容量と巻き付ける強さだけを気にして、絹糸を使って来たのだが、今回色々リッツ線を作っている間に分かってきた。
素線の径そのものがもつ音質や、合わせる数による表皮効果の改善効果も確かにあるのだが、ウエスタンスピリッツケーブル音質の特徴は、やはり解放感と滑らかさだと気付いた。
それは他でもない絹糸被膜だと思う、それとその作り方にもあるのだが、みなさんが私のケーブルを聞いて、開口一番話されるのは市販品と違うクリアーさと、情報量が多いのに、うるさくないとの意見が多い。
リッツ線ではないが、これにもなにがしかの表皮効果があるからではないのか。
綿の糸で被膜を作ると、低音は良くしまって出るのだが、中高域がつまってうるさく聞こえるのだ、高域もあまりのびない。
麻の糸で作ると更に明るく粗く、低音も出て感じない。
絹糸は柔らかく強く滑らかなのだ、確かにあまり精製されてない粗い絹糸もあるが、やはり音も粗くなる、糸としての価値はあるのだろうが、音が粗くては、オーディオ的に価値はないと思う。
柔らかい絹糸を強く巻き付ける以外に音を良くする方法はない、私はずっと言い続けてきた、巻きが甘いと音は粗くなるのだ。
それと強く巻き付ける事で、音が落ち着くのだ、つまり音の重心が下がって聞こえるのである。
その「聞こえる」の言葉が大切なのだ、これは私が過去にどんなに測定してもらっても、解明出来なかった。
だから電気の理論だけでは解明出来ない事なのだろう、測定ではなく、もっと別の方向から調べていかないと、分からないのだと思う。
メーカーでは相変わらず、ポリエステルや塩化ビニールやテフロン、ポリウレタン等を被膜に使用している、確かに酸素が入りづらく素線の酸化を遅らせる事(でも、剥いてみると、数年で素線はさびている)は出来るだろう、しかし大切なのはオーディオケーブルである以上やはり音だ。
だからいくら膨大な経費を使い、研究して頑張っても、何年経っても、クリアーな音にならないのではないか、しかし市販品総てが悪い訳ではないが、ウエスタンスピリッツのケーブルとは全く音の解放感が違うのである。
それは残念ながら、高級ケーブルほど、ウエスタンスピリッツケーブルの解放的な音とはかけ離れている気がする。
お金をたくさん払い悪い音をだす、私には皆目訳が分からない。
貴方がもし出来るのであればのお話になるが、絹糸をコンマ一ミリの隙間もなく、綺麗に均等に強く巻き付ける事が出来れば、音の良いケーブルは作れるが、私は約25年はかかった、しかし私の絹巻き技術はこれからもどんどん進歩していく。
絹糸はとても優れた被膜である。