そして、二人目のお客様が試聴に来られた。
今回、時期尚早ではあったが、二人目のお客様の試聴のご意見で、部屋の鳴らし不足が決定的になった。
今回は友なので、その試聴結果はいつもかなり辛い。だから良いのである、それが本当の友ではないだろうか。
オーディオは一人では出来ない。つくづく感じた。
自分も不満に思っている事を、二人のお客様は、私が感じるのと全く同じに感じたという事である。と言う事は、本当は好みはないのかも知れない。オーディオ評論家がマニアを訪問して、苦しい当たり障りのない評価をしたのだと思う。
低音が少ない、サックスが伸びやかでなく固く閉塞的である。
『これは、今まで聞いてきたウエスタンスピリッツを経営する貴方の音ではない。新たな電源ケーブルや、壁や柱がまだ馴染んでない為だろう、まだ時間がかかりそうだ。』二人の試聴結果は全く同じ。
私も全く同じ考えである。しかし他人(私)のシステムを自分のものの様に聞いて正直な感想をくださる。とてもありがたい。
二人のお客様は先ず、新居の為かお祝いの言葉か、この部屋の長所を語ってくれた。
しかし聞いている内にだんだんとこの部屋に耳が馴染んで来るのか、私が気にしている事をズバズバ話す。
これで良いのである。よくあるが社交辞令で、ただ良い音だと言われても、なんの参考にもならないし、これからの対処の参考にもならない。
むしろ悪いところをズバリ簡潔にご指摘願いたい、そう思っていた。
今日の友が帰った後、私はトーンアームの内部配線の導通をチェックした。
私は内部配線をPEWのリッツ線に交換してあった。高さ調整ネジをあけなおした時に気になっていたアームからダイレクトに引き出した内部配線を少し切断して、短くしたのである。
そして、PUケーブルと半田で直に留めてある、そこの熱処理が足りず被膜が溶けていなくて導通してなかったのである。
確かめ方。アンプのボリュームを少しあげておき、PUケーブルと留めてあるプラスの接点を指で触ってみる。するとブーッと音が出る。右(赤)側はハムの音が小さい。左のプラス(白)は音が大きい。次にカートリッヂの出力のシェルリード線の出口の端子を、左右どちらかずつ指で直に触ってみる。
音の質に変化があった、左が弱い。ハイッ、これで場所が特定され分かる、左チャンネル(白)のアームの内部配線とPUケーブルとの半田処理の不良である。
私のアーム内部配線は、PEW(ポリエステル)被膜のリッツ線である、ポリウレタンよりは被膜がじょうぶな為に熱が足りなくて導通していなかったのである。一応プラスマイナス左右、全部やり直した。当然、大学ノートに書いておいた。
オーディオは失敗が成功に結び付く。しかしそれらの情報をデータ化しておけば同じ事を繰り返さなくても良くなり、新たな半田付けのノウハウとなり、更なる進歩となる。この積み重ねでしかないのである。
半田をあげなおしたら、テスターで測ってもカートリッヂからの出力は左右同じインピーダンスになり、しっかり導通した。
針圧を正確に測りなおし聞いてみた。久しぶりで聞いた、まともに鳴ったアナログはやはり凄い。
やはり留めるものはしっかり留めなければまともな音は鳴りません。
みなさんの高さ調整ネジは緩んでいませんか?もしもほんの少し緩んでいたらたまにはしめなおした方が音は良くなります。
かと言って繊細な細いネジを、親の敵みたいに強くしめすぎてはいけません。私の様に中で折れてしまいます。
一人でオーディオやっていると私の様なプロでも分からなくなります。持つべきは、嫌な事でも正直に言ってくれる良き友であります。
トーンアームのネジがしっかり留まりアナログは更によくなった。しかしこの部屋の壁や柱は、まだまだ固いと言う事なのでしょう。新築はなかなか良い音に鳴らない。
そしてその中でも、最高のリスニングポイントをみつけるのも、また我々個人と言う事です。オーディオは簡単には鳴りません。部屋が変われば尚更です。新居で良い音が鳴る筈がない。