ウエスタンスピリッツ 絹巻きリッツ線スピーカーケーブル完成
ウエスタンスピリッツがいつも語っている塩化ビニール被膜が、音に腰がないと言うお話と、リッツ線ケーブルの表皮効果、これは全く別のお話である。リッツ線は、被膜の質より表皮効果を狙った作りである。
細かく書いていると文章が長くなる、一つだけ頭に入れておいて欲しい。0.6㎜ф単線の断面積と等しい数値にするには、0.12㎜ф単線が27本必要になる。計算では25本なのだが、27本で個人的に音質も0.6㎜単線と合わせられる。その表皮効果は絶大である。その優れた素線の断面積0.6㎜ф単線を、リッツ線に置き換え、何本にしたらパワーアンプからのリッツ線ケーブルに向いているかの研究である。今回ウエスタンスピリッツは、0.12㎜ф単線を327本とした。さて何本になるだろう。考えていただきたい。
あくまでリッツ線の理論上の計算の事なのだが、実際に作ってみると、ウエスタンスピリッツの作り方では、音はかなり前後左右上下に開放的な優れた方向に進んだ。
では、話しは本題へ。結局今回は、ハーネス(プラスマイナスをまとめ、たこ糸で結んでいく方法)の仕上げとなった。ハーネスせずに絹を巻いてみたら、プラスに使うリッツ線とマイナスに使う線の固さと太さと性質が違うので、丸めて作った形から真っ直ぐに戻しすと、出来上がったケーブルが、ヨレヨレになってしまったのである。
プラスのリッツ線の行き場がなくなり、歪んでよれてしまったのである。
かと言って、リッツ線は柔らかすぎて固く絹巻きが出来ない、固く絹巻きする事が出来れば、もっと上手く出来るが今回は出来ない。今後の課題となった。
PEW被膜が丈夫なので、隣り合わせのマイナス単線に、今回は一応、もう一層綿の太い糸を強く巻いてからハーネスして平行に作った。
写真では分かりづらいかも知れないが一応携帯で撮影して載せた。銅線色がプラスで端末は黒、白い単線がマイナスである。それを隣り合わせ、絶対平行リッツ線スピーカーケーブルが完成したのである。
出来上がり持ってみると、結構な重さである。反して音は静かで、落ち着いた優しい感じである。音を大きくして消磁のCDを三回、エージングのCDを三十分再生した。まだ鳴っていない、でもおかしい…不自然、そんな雰囲気である。ケーブルで不自然になった音を越えている。
鳴っていない時にわずかに鳴っていたノイズもかなり減ったようだ。しかし、聞いているとだんだん鳴ってきた。しかし、完璧におかしい。
はじめは酷い音だった、今も良くない。低音が出ずに右側が、位相のずれた様な異様な鳴り方をした。一瞬、失敗に終わった、そう思った程である。でも絶対的に何かおかしい。
電源が整った部屋は、良いも悪いもはっきり鳴らす。そして、低音が異様に出るのに、床が鳴らなくなった。これも不自然でおかしい。
これからどんどん鳴りだすのかな?少し鳴らし込まないと分からない。でも酷い音だ。こんなケーブル聞いた事がない。
うんっ?位相がおかしい。気持ちの悪い音である。ネットワークを見てみたが間違えていない。パワーアンプを見てみた、ありゃりゃ!左チャンネルを間違えて繋げている。それが右側の鳴り方に影響したのである。
今回リッツ線を白黒で作った、その為に素直な私は左チャンネルだけ、スピーカー端子の黒(マイナス)に素直に黒を繋げていた。黒はプラスである。赤に白を繋げていた。白がマイナスである。これでちゃんと鳴ったら驚きだ。位相はちゃんとずれていた。
言い訳はしない、私が馬鹿でした、すいません。直ぐに繋ぎ変えた、当たり前だが、ちゃんと繋がった音、それは凄まじい音だった。
どっしりと腰の座った重量感、綺麗な透明な鮮やかな中域、どこまでも鳴っているかの様な高域、大変な思いをしてまでリッツ線スピーカーケーブルを作って良かった。
確かに繋いだばかりなのでまだ鳴りきっていないが、これからエージングも進んで来るだろう。
以前もお話したとおりスピーカーケーブルは最低十日はエージングに時間がかかる。
三日72時間で初期のエージングは終わるが、実はそのさきに本当の慣らしが来るのである。しかし今回はハーネス、少し早く鳴って来るだろう。
しかし、ファーストインプレで既にこの結果である、悪い筈がない。
左右のケーブルをちゃんと繋いだ音、ここから私が味わった快感は察していただく他はない。
三日間聞いていた。答えは既に出ている、リッツ線はラインも含め素晴らしい。やっとリッツ線の答えが出た。ラインは既にリッツ線で総て繋がっている。
ただドライバーとツィーターのネットワーク迄とネットワークからウーハーは未だに赤黒スピーカーケーブルのままである。
ウーハーだけは旧ウエスタンスピリッツの作り方で、ウエスタン0.6㎜ф裸単線を四本捩ってプラスとし、マイナスは選ばれたるウエスタン16GA単線で、平行に合わせて作ったケーブルである。
そのタイプのケーブルもかなりの実力だった。今回のリッツ線は、遥かにそれをしのいだ。自分で作って驚いては馬鹿みたいな話だが。事実そうなったのだから仕方がない。
言葉は悪いが、市販のリッツ線はパッとしない、使ってる方には悪いが、全く比較にならない。ケーブルは作り方で、こうも変わるのである。
オーディオケーブルメーカーさん、もっと頑張れ。設備もろくに揃ってない私にここまで作れたのだ。いや、設備がないからこそ腕が磨かれここまでのケーブルを作れたのかも知れない。しかし、ここで満足してる訳にはいかない。この先は必ずある筈であるからである。
ウエスタンスピリッツは、総て、リッツ線スピーカーケーブルに作り替えて交換する事を決めた。
力があり、素直で自然な音がする。やはりリッツ線はかなり優れていると思う。先ず、アナログのスクラッチノイズの音が湿っぽくない、パキッとしていて音楽の内側に入っているが、音楽と分離して、外に聞こえる。なんという懐の深い奥ゆかしい音なのだろう。
これが本当のアメリカンサウンドだろう、海の中で突如巨大な鯨と遭遇したかの様な、圧倒的な抗えないサウンドである。それでいて、何か更にとてつもない大きな海全体を支配している様な、大きなものが出て来る前触れみたいな、不気味な程の暗い深海の闇の様な静けさがある。
少し在庫を作ったら、一ヶ月無料モニター応募を開始する予定である。貴方のシステムがちゃんとしていたら、ひょっとすると私と同じ、不気味な暗い闇の様な体験をするかも知れない。
さあでも、更に実験は続く。まだまだ更にこの先があるのである。
異次元のオーディオ構築なるか。理想の音にはまだまだである。しかし、少し頭も体も疲れた。