更にもう一人のお客様が来られた。
こちらのお客様は、刺客とよんでもおかしくない、寡黙な方だが、かなり厳しい聞き方をされるお客様である。少しでも気に入らない所は、私がプロなので包み隠さず伝えていただける。
先ずJポップをCDで四曲しっかり鳴るかである。総て「良いね」だった。これは大変な事である。
次にアナログである、アナログは三面位かけないと音が良くならない。ベートーベンのエロイカを総て聞いた。最後の五分位のところからかなり鳴り出した。もう少しだねと話された、「はじめはざらついていたけど滑らかになってきた」それには私も同感である。
次にホルストの惑星を聞いた。木星の主題の所で目が釘付けになっていた。「凄く良いレコードだね」と話された。
次にサバリッシュのマドンナの宝石である。あまりの強烈な低音に二人でおもわず笑ってしまった。素晴らしいの一言だった。
次にオーディオメーカー マークレビンソンの有名なエルビンジョーンズ ミュージックマシーン-2 B面である。サックス、ドラムス、ウッドベース、ギターの静かな曲の構成で、圧し殺した様なウッドベースの低域がかっこ良い。最後の方にドラムスの強烈な音が録音されていて、システムのマックスの鳴り方が試される厳しいレコードである。「うーん深くて聞きやすい」と話された。
次にアーヨ指揮のビバルディー四季をかけた。このレコードは日本フォノグラムで、上手く鳴ってないと、特にヴァイオリンがヒャラヒャラしてうるさく感じるのである。「違和感ないね、凄く聞きやすい」と話された。
そしてブルーノートのクールストラッティンを日本のキングレコードである。「この曲を聞く為に昔よくジャズ喫茶に行ったよね」だった。
そして最後はお客様が持参されたCDで、ピアノトリオを七曲位聞いた、写真にあるCDで録音がべらぼうに良かった。「私のシステムではこんな高域は鳴らない、低域ももっとブンブンしてる」と話された。お断りしておくが、お客様のシステムはかなりのレベルである。
どうやら新居のオーディオは決まった、そう感じた。
私は異次元のオーディオ構築を認めますか?と聞いてみた。お客様は首を強く縦に振った。私は更に、何か違和感はありますかと聞いてみた。少し考えられてから「ないね」と応えられた。
しかし、その答えは少し気になった、まだどこかに違和感を感じるものの今日は言葉にならない感じだった。
そして、これは君が人生をかけて積み重ねた音だと話された。
最高のお誉めの言葉である。
今日の試聴は概ね良好と言ったところではないだろうか。しかし最後の違和感はないかの私の質問に少し考えて「ないね」がどうにも私には引っ掛かっている。
ご試聴ありがとうございます。