ネットワークの部品は総て品位の高いもので揃った。
秋葉原迄注文した部品を受け取りに行ってきた。
少し怖いが、繋げてみないと分からない。ムンドルフコンデンサーが左右分で六つ、ドライバーのハイカットコイルが左右で二つ、たったこれだけで約八万円である。
今までは、少し品位の劣る部品で定数は今回と同じである。私はこのまま約二年間じっくり様々なソフトを聞いてきた。そして最近ドライバーのハイカットコイルを試しに外し、ツィーターだけローカットコンデンサーを入れて聞いてみた。
結果は、やはり外す前の部品定数が優れていた。時は満ちた、品位の高い部品で決めてみよう、そう思った。
いつまでも安価な部品を使用していては妥協の音でしかない。
新たな環境が整ったリスニングルームが完成した。ここは、けちらず腹を決めて妥協なく決めたい、そう思ったのである。
しかし二十年前ならば、今回のドイツ製のムンドルフコンデンサー以外に、もっと優れた部品があったのを思い出す。
しかしもうないのである仕方がない。今のベストを尽くそう。昔良いと思った部品も何個か探して見つけたが、とてもではないが今や初期性能を維持してるとは思えなかった。保管の状態がよろしくないのである。
コンデンサーはズバリ数値が総てである。店の方には悪いと思ったが、LCRメーターで測るとやはり総て容量が抜けている。そしてそれだけならばまだ構わないが、定数をずらしても左右揃うものは何一つなかった。
なので諦めた。電気を通し使用していていればまだ良いのだが、コンデンサーは十年そのまま放置すると、容量が抜けている事がけっこう多いのである。
それで揃わない部品を無理矢理使い、左右の音が合わず、上手く結果を出せない事もあるのでは?と私は思う。
だから現行で製造されている中から最高と思える部品をチョイスしたのである。
ここまで突き詰めて来ると部品定数はとても大切である。そんな高い部品を使ってLCネットワークなど組んでも、大した変わりはない。と、思われる方もたくさんいらっしゃるかも知れない。
確かにそうだろうと思う。実は、私も以前はそう思っていた。しかし、確かに最後の最後のところで違うのである。その僅な差の為に私は人生をかけたのである。
私は安価な部品から容量の大きなオイルコンまで、総て色々なメーカーで自分で購入し、ネットワークを作り、聞いてきた。その中で、今は、ドイツ製のムンドルフコンデンサーMcapの上級クラスが一番と判断したのである。
ツィーターのローカットにムンドルフのMcapシルバーゴールド、ドライバーのローカットにムンドルフMcapSUPを選んだ。
では、なぜ妥協なくと言っておきながらドライバーだけSUPなのか?であるが、最高クラスのシルバーゴールドは10μfまでしかないのである。
と言うことは、コンデンサーの数が増える、コンデンサーの数が増えると接点が増えてエネルギーロスがおこる。そして位相がずれる。
中途半端な位相のずれは、やはりエネルギーロス以前の問題である。だから25.0μfを作る為にムンドルフSUPシリーズの15.0μfと10.0μfを合わせたのである。
部品点数は出来る限り数を少なくシンプルに最短距離で、これはLCネットワークを組む上で常識である。個人的にそう思う。
そしてネットワークは(私は3ウェイ)高中低音を分離して作り、スピーカーと出来る限り隔離して設置しなければ良い結果は出ない。
後は配線の仕方や、特にコイル同士の距離を必ず最低でも10㎝は離したい。よく方向を変えて向かい合わせてるネットワークがあるがあまり宜しくない。上下左右に10㎝は離すのが鉄則だと私は思う。そしてネットワークは振動を嫌う。
そしてコイルは出来る限り鉄芯のないタイプで、純度の高い銅箔の幅の広いワイアーを間にポリプロピレンを入れて、固く巻いた空芯のタイプが音に飽和がなくて優れていると個人的に感じる。
そして、これが肝心なのだが、コイルやコンデンサーや抵抗をインシュロック等でガッチリ工夫をして、板に留める事である。
ボンドで留めるのも悪くはないが、部品定数を交換しようとした時、二度と外せなくなるから要注意である。だから、直ぐに外せるインシュロックなのである。
コイルは四ヶ所、コンデンサーは二ヶ所留めないと音が乾いたように明るくなり、うるさくなる事が分かった。因みにねじりっこは音が悪くなる。
そして妥協なく決まったならば、総ての部品やスピーカーケーブルを半田でしっかり留めるのも大切である。素子の線をターミナル等を使ってネジで留めただけでは、いつまでたっても音が安定しない。
半田が嫌ならば、圧着してしまうのも一つの手だが、やはりあまり接点は安定しない、なぜならば他の金属が接点に介在するだけで、明らかに音は濁るものである。
しかし半田をしても上手く裏まで半田がまわらず天婦羅になっていては、後に音は著しく劣化する。ちゃんと繋がっているのと簡単に繋がっているのとは音に天地の差がでるものである。半田の熱は接点へしっかり加えよう。そして裏までしっかりまわそう。
しかし長々書いたが、ここまでしっかり作業を行っても、選んだ部品定数が決まっていないとカットオフは失敗に終わる。
そこには経験とセンスが必要になる。もっと言えば、ご自分が使用しているユニット構成を理解し、ブレない絶対的なコンセプトを持っていないと上手く繋がらない。これがLCネットワークを完成させると言う事である。
上手く繋がるかな。ワクワクする。神様お願いいたします。