意外な来訪者
今日、我が家は法事だった。父の弟さんが、夫婦で東京から来られた。
お坊さんを含め、狭い仏間に7人が入った。お経が始まり、そしてたわいもない会話が終わり、お坊さんは帰られた。
我が家の家系は公務員が多い、家内は元大手のデパート勤務だった。やはり公務員や、大手の勤務経験のある方は私とは違うのである。
私は、今まで一度も定まった職業についたことはなかった。しかし父の弟さんは、比較的自由人で、なぜか私とは波長があうのである。
公務員を勤めあげた後は、本を書いている。考えが少し左寄りなのである、父は自衛隊だった、なので話の根本は弟さん夫婦とは全く噛み合わない堅物である。
私は右でも左寄りでもない中立の立場であり、やはりかなりの自由人であるから、どちらとも話が出来る。
話が一通り落ち着くと、父が弟さんに息子の部屋を見てみないか?聞いてこいとみずを向けてくれた。
やったね!私はずっとこの日を待っていた。父は射撃で耳が両方とも殆ど聞こえなく補聴器を使っている。
補聴器は、音が飽和するため、オーディオの音は割れてしまい聞けないと話していた。昔はグレンミラーが好きだった様である。
弟さんはオーディオには全く興味がない。しかし、世界中の色んな音楽に詳しいのだ。
しかし、私が音楽をかけると、暫し沈んだ様に聞き入っていた、そして一言「臨場感がある、音が低いところから鳴るから良いんだな、うんっ!」と言った。
昔こんな音を横浜で一度だけ聞いた事がある、と話された。
しかし「音が低いところから鳴るから良いんだな」この言葉は、私の言いたいことの総てである。オーディオに興味のない人に聞いていただき、この言葉が出たのは誠に嬉しかった。
そして最後「なかなかのものだった」と仰った、社交辞令かもしれないが、満足である。