朝の試聴
普段あまり午前中にオーディオを聞かない。ただ昼間も夜も一晩中音楽やエージングのCDを鳴らし続けている。でもオーディオを聞くのはいつも決まって午後である。
しかし、今日は聞きたいと言うよりは、やっと完成したシステムを眺めたかったのである。
静かで柔らかな音が鳴っていた、ソフトはBoysⅡMen COVERED WINTERである。
柔らかいのだが、歌っている四人の声が全く違うのがよくわかる。当たり前だとご指摘をうけそうだが、どこで聞いてきてもこの様な音の分離の仕方はなかった、当然このシステムも。
そして高域の描写が実に細かいのである、ただあり得ない高い周波数が鳴っているだけと言うのが一般的な中で、それでも優れたほうのオーディオである。
しかしそうではないのである、高域にも実に細やかな音の違いや奥行きが各々の楽器にあり、それを総て距離感も含め鳴らし分けた、一般的な上級クラスの更に上の音、そんな鳴り方になっている。
しかし、私は若い頃からいい加減でわがままな男であった。ウエスタンスピリッツの音は、どこかおおらかで堂々と聞こえるが、そのいい加減なところが、また自分自身の性格が音に反映されて良いのかも知れない。
しかし、ずぼらな音ではない。放蕩の限りを尽くした一人の男が、最後にやっと辿り着いた一つの答えなのである。
まだまだ異次元のオーディオ構築に終わりはないが、あるレベル迄の答えは遂に出た、もうそんな音である。
子供の頃から箸にも棒にもかからず、どうにもならなかった私でも、大好きな一つの事に真剣に没頭すればなし得る事が出来る。私はそんな見本の一つではないだろうか。
スピーカーボックスの下に付けていたキャスターと耐震ジェルを外し。そこに黒檀キューブを敷いて、その下に3㎝厚の赤タモの集積材を二枚重ねて張り合わせ敷いた。
そして総ての機材の下にも、同じ赤タモの集積材を二枚重ねて張り合わせ敷いた。そしてその下にも、様々な銘木のキューブを敷いて音を作った。
床や機材の下をしっかりさせると、まるでオーディオが終わったかの様な素晴らしい音になる。改めてオーディオシステムを設置している床が本当はどれだけ大切なのかを思い知った。
パーチクルボードや御影石や金属の上に直に機材を設置していてはどんなに優れた機材を使っていても永遠に音は良くならない。
質量のある響きを考慮した木材を敷こう。張り合わせ敷いた木材は、日増しに乾いてきて更に低音が鳴るようになってきた。それがどれだけ素晴らしい事か、もう文章にはならない。
これは自慢ではない、作ったケーブルを少しでもしっかりしたシステムで試聴したかった。
もうこのシステムは、今までに聞いてきたどんな優れたシステムよりもトータルで優れていると判断した。
ウエスタンスピリッツが失敗を重ねがらも、少しずつ確実に重ねてきたもの、誰もこんなやり方をしていない、だからやってみた。
とても聞きやすくなった。理屈だけでは語れない、今最高である。
そして、やっと今回妥協なしに完成させた五種類のケーブルが、間違いなく高嶺に登ったことを確認した。今のレベルのシステムで確認したのである、世の中完璧なものはないと思うが、もう大丈夫と判断した。
特に1)のケーブルである、リッツ線ノンシールド平行絹巻きタイプがCDで、プリパワーがリッツ線シールド平行絹巻きタイプの組み合わせである。
穏やかで滑らかで分離に優れたクリアーな音、再生周波数レンジの広さ、奥行き広がりとスケール感、低音の引き締まり方と下への素早い伸び、重心の低い鳴り方。そして、鋭角な音をクッキリてと鳴らしながらも全く耳に絡んでこない。
ケーブルで音が変わる、これは本当にとんでもない事だと思う。