一生にワンセットのオーディオすら鳴らせない
このお話は主観であり、気分を害される方もいるかもしれない、でも呟かずにいられなかった。
ウエスタンスピリッツはそう思う。しかし殆どのオーディオマニアは、そのワンセットのオーディオシステムの本当の答えすら聞けずに一生を終わる。個人的にそれは耐えられない。
個人的に若い頃から、あちこち聞き歩き試聴行脚をしてきて、自分のお客様を含めると1000軒は聞いただろうか。総て全滅だった。
色んなメーカーの高価な品々を使い、ただそのスペックの差みたいなものが各々のシステムで鳴ってるだけ、感動もポリシーも感じない、これが現実である。
しかし全滅とは言え、その中でも何件かは、ポリシーとその方の人生が浮き彫りになった様な素敵な音があったのも事実だが、やはり参考にもなにもならない程度だった。
それでも私はオーディオが好きだったので、真っ暗闇の道なき道を暗中模索しながら手探りで歩くしかなかった。
そして、所沢で師匠と思える人物に会えて、道なき道はトンネル位にはなった。しかし、すぐに抜けられると思ったトンネルはとても長く、なかなか出口が見えては来なかった。
こんな感じである。長いトンネルをもうすぐ抜けられると思った矢先に、トンネルの入り口に大切なものを置き忘れて来てしまったのに気付く。当然それがないと長いトンネルを抜ける事は出来ない。
せっかく歩いて来た暗く長い寒い孤独なトンネルを、再び歩いて引き返すしかない、オーディオとはそんなものである。
今良いと思ったものが後に駄目だと気が付き、過去に駄目だった筈のものが後に新たな結果と合わさり優れた結果を出すこともある。
オーディオは最後必ず鳴る、オーディオに限界などない、ずっとそう思い信じてきた。本当はディープ・パープルのライヴインジャパンの特にスモーク・オン・ザ・ウォーターの録音が、どれだけ素晴らしいのかを証明したかった。
まだ理想の音を聞いた事もないのにである。誠に馬鹿みたいなお話だが、でも信じていたレコードはやっぱり思ったとおりの音だったのである。
今目の前でウエスタンスピリッツシステムはそれが鳴っている。まるでクラシックの様に鮮やかである。いくらハードロックとは言え、やはりディープ・パープルはブリティッシュロックなのである。そのお国柄があるのである。
品のない録音ではなかった、レッド・ツェッペリンも同じである。総ては計算しつくされた録音だった。
こんな事をオーディオは私に伝えてくれたのである。更に上手く鳴らしたいと思うのは当たり前のお話である。
ウエスタンスピリッツは今のシステムを、壊れる迄しゃぶり続けるだろう。そして私は結局このシステムしか鳴らせなかった。
何故一件の家に何セットも色々なシステムが必要なのかさっぱり分からない。たくさん持ってるよと自慢したいのだろうか?まるで販売店にうまい具合に騙されたカモみたいである。一つのシステムすらまともに鳴らせないのに。未だに買い換えを繰り返している。
それがその方の人生観なのである。分かっていない…とても哀れに見える。