聞き終わった後の静かなオーディオ‥
一旦ベットに入ろうと思ったが、どうにも目が冴えて眠れそうにない。一言、家内に詫びて、リスニングルームへ行き、一時間程聞いていた。
そしてオーディオの電源を落とした。部屋は静かで、小さな二十四時間換気扇から、僅かに外の風の音がたまに聞こえるだけ。
とても静かだ、煙草に火をつけた。今日は神がかり的に上手く鳴った、ジャズのピアノトリオと、クラシックのポルカを聞いた。
電源を総て落とした静かな部屋は静まりかえり、何の音も聞こえない。下らない他人とのしがらみや、つまらない世間の事などどうでもよくなった。
そしてオーディオに目が行った、当たり前だが、人が電源を入れないとオーディオは本来、この状態なのである。
ひょっとしてオーディオは鳴りやみたがっているのかも知れない。ふと憧れているゼロの音を思った、そう、この状態をオーディオの電源を入れた時に再現すれば良いのである。しかし、どう考えても無理である。
そんな事をかんがえていたら、一瞬オーディオから小さくピアノの音がポリンッと鳴った様な気がした。
当然こちらの錯覚なのだが、システムを見詰めていると、電源を落としたオーディオが今にも何かを語りだしそうな気がした。
ウエスタンスピリッツのリスニングルームは広さが約16畳強ある。システムの電源を落とし煙草を一本吸った時間は、とても有意義な贅沢で穏やかな時間だった。
たまには良いね、でも眠い、おやすみ。