ドライバーとホーンとツィーターの下
ドライバーは、下に存在するウーハーとスピーカーボックスから振動を受けて共振している。今までは小さな質量の固い青黒檀を敷いていた。
ウエスタンスピリッツは、ここまで色々努力して音を構築してきた。
しかし後一歩の所で伸び悩んでいた。余計な振動と共振=付帯音である。
そしてまた千葉のIさんから新たな実験結果報告があった。ドライバーの下に質量のある木材を敷いたとの事で、かなり良好との事だった。
以前同じ事を私も試した事があったが、正直良好とは言えなかった。だから私はドライバー下の木材の質量を減らしたのである。それでバランスがとれている。
しかし、システム全体のレベルが上がった今ならば、また別の答えが出るかも知れないと思った。
大きく納得出来た。多分余計な振動が大きな木材で受ける事により、付帯音が減り、スッキリした分離した音になり、ウーハーとドライバーの音は更なるレベルで手を結び、太く奥行きと広がりがあり綺麗な音になると推測出来る。がやってみないと分からない。しかし、少し不安があった。
多分、低域がクリアーになり、上手くバランス出来たら、更に低い周波数ものびる筈である。しかし、ホーンとの兼ね合いがあり、ここは賛否両論、分かれるところである。
ホーンが高くなり、スピーカーボックスとは少し距離が出来るが、そんな見た目より、余計な付帯音が減った方がメリットが大きいとその時は思った。
私とIさんのネットワークは、とてもシンプルが故に、良いにせよ、悪いにせよ、総てがハッキリ分かり、違いが出やすいのである。
なので、悪くなるとそれもハッキリ鳴らしてしまうのである。
Iさんはアルテック、私はJBLである。お互い感度の高いスピーカーを使っている為、何か実験を行うと結果がハッキリ音質に出るのである。
私はこう思う。鳴らせないのはこちらの経験と力不足、世間のセオリーなど必要ない、ならばやるしかない。
スピーカーやラックの下や機材の下に板を敷いた事で、どれだけ音質が改善されたか計り知れない。ならば、少し意味は違うが、ドライバーも同じように思う。
今までは小さく細い木材をドライバーの下に設置して音質を作ってきたが、やはりドライバーの下の木材にもある程度の質量が必要とこの時は感じた。
下からの振動を、点で受けるのと、面で受けるのとは意味が違う。
試しにチーク材の厚さ3㎝の板材を二枚重ねて、ドライバーの下に敷いてみた、するとホーンが下を向いてしまったので、樫(かし)の木の4㎝キューブがあった、それをホーンの前面下に二個ずつ敷いてみた。ちょうどホーンはアバウト水平になった。
音楽を聞いてみると、僅かだが質量が増えた為、中域から下が滑らかにウーハーと繋がったと感じた、成る程と思った。しかし、少し明るくうるさい。
つまり音の重心が少し上がり低音がボンつく。 何にでも馴染みがあり、もう少し聞いてみないと分からないが、もう少し質量を増やした方が良い様な気がする。
そして更にホーンの前面下に4㎝の黒檀の角材で長さ11㎝の長さのものを敷いてみた、音は更に滑らかになり中域がしっかりした。が、更にうるさくなった。
やはり木材の質と量は音に強く関係してくる。この変化は半端な差ではない。更に奥行きが増して、まるで音域のスケールが違うとも感じるが、何か違う気がする。
それはジャズを聞いてもクラシックを聞いても同じような違いである。
過去に行ってみて駄目だったことがまたひっくり返った瞬間であるが。まだまだ吟味の余地ありである。
ドライバーやホーンが受けるスピーカーボックスからの振動の影響、そしてドライバーとウーハーの繋がりの距離、それらを支えている木材の質と量はかなり変化が大きい。
そして、少し聞いてると、総ての楽器の音は更に分離が良くない気がしてきた。
これだからオーディオは終わらない。まだまだ何かありそうだ。以前から木材の質量に気付かれていた千葉のIさん、今回も先を越されてしまったようであるが何かが違う。
でも、ありがとうございます。
しかしかなり違う、色々聞いてきて思った、良くないと。千葉のIさんは、アルテック511Bホーンで、デッドニングされていない、ウエスタンスピリッツは、コーラルAH‐500なのである。
アルテック511Bはホーンのカットオフ周波数がせいぜい420Hzである。それに対しコーラルのAH‐500は、ホーンのカットオフ周波数が250Hzで、しかもデッドニングしてある。
多分アルテックのホーンは、繋がってるドライバーの下を質量のある木材でしっかりさせる事により、ホーンの独特な共振周波数が変化するので鳴り方に変化があったのである。
そのまま一週間聞いてみた、やはりうるさい、低音も艶がなくなってのびなくなった、やはりドライバー下の木材の質量を増やすとウエスタンスピリッツでは駄目だった。
しかし、ウエスタンスピリッツでは効果は逆に作用したとしか言い様がない。そして、今度は樫(かし)の木の3㎝のキューブをドライバーの下に敷いてみたが、チーク材の時より音は遥かに密度を増した。
ホーン前面下の黒檀も1㎝の元のチークの角材に戻した、こちらの方が音は自然である。
しかし樫の木の3㎝キューブが、ドライバーの下に敷く優れたインシュレーターになることを確認出来た。
そして、ホーンとスピーカーボックスはJBL4560BKに於いて、あまり離れてはいけない事を知った。
今回元に戻すと共に音は元の素敵な違和感のない音に戻った、これが答えだと思った。
いくら慣らしが必要だと言っても、良くない結果はハッキリと情報量の欠如となり出たのである。鳴らして待っていても情報量の欠如は改善された事はない。
オーディオは実に深いのである。