JBLサウンド
今の鳴り方にするまでにウエスタンスピリッツは三十年あがいた事になる。ジャズ喫茶が華やかしき頃、門前仲町のジャズタカノや一関のベイシーや小岩の珈琲園などに行ったものである。
しかし、ジャズ喫茶で鳴ってる音に満足したことは一度もなかった。音に違和感があったからである。
そしてこう思ったものだ、どうして自分は素直じゃないんだろうと。世間で認められているからこれが良い音なんだろうと。
しかし、ひねくれ者の私はどうしても聞いていられなかったのだ、それは自分のシステムも含めてである。
違和感おおありだったからである。実際の音はこうではない、いつもそう思っていた、なぜオーディオはこんなにうるさいのだろうと、しかし方法が分からない、悩んでいた。
ある日「ちょっと待てよ」と思った。私は他の誰でもない、だから私なのだと。ひょっとしたらどんなレコードもちゃんと録音されていて、鳴らせないのはこちらの経験不足と技術が足りないからではないのかと。
そして、世間にはびこるいらないオーディオセオリーがいけないのではないかと思った。ならば自分なりに考えて自分だけのオーディオワールドを築けば良いのではないか?そう思ったのである。
先ずは今は鳴らせなくとも、自分の心の中に間違いのない、ゆるぎのない不動の音を確率する必要があると思った。
音は耳に絡み付いてはいけない、うるさくなく膨大な色濃い情報量が欲しい。そして二本のスピーカーが消えたかのような鳴り方になる筈である。
これら総てを鳴らなくしてるのはエネルギーロスをおいて他にないと次第に気が付いた。
この思考になったのがスタートだったが、JBLは私の意に反して、なかなか上手く鳴ってはくれなかった。
そして思った。独特な音の構築ではオーディオをまともに鳴らす事は出来ない、セオリーに振り回されてはいけないが、もっと原点にかえってみよう、そう気が付いた。
そして図書館に通い、基本的な事を少しずつ勉強したのである。しかしやはり世間の下らないセオリーが頻繁に文章に出てくる。
なので自分なりの解釈に切り替えた、すると自分にしか気付かなかった、ある意味、独特な音質改善の方法がたくさん見えてきたのである。
これこそがJBL攻略法だったのである。JBLはサウンドが独特とみなさん仰る。ところが全くそんな事はなく、JBLを独特なサウンドにしてるのは、経験やセンスがないこちら側である。
JBLは超まともな高感度スピーカーだったのである。が故に、当たり前だがまともな音楽信号しか受け付けないのである。
おかしな信号を入れるからおかしな鳴り方になるのである。しかし、なかなかそこに気が付かなかった。
しかし、未だに誰も気が付かない。ユニット構成やバランスばかり考えている、他に原因があるのである。スピーカー下やラックの下の床や機材の下の振動なのである。
これはJBLに限った事ではない、総てのスピーカーに共通するが、JBLは特に感度が高いので尚更だったのである。
数あるスピーカーメーカーの中で、突出してJBLのユニットは優れている。
その中でも、ウーハーの130A、ドライバーのLE‐85の組み合わせである。このユニットを組み合わせ、ボックスやホーンの優れた機種を探せばよい。
そして、高域が足りなければ各自でツィーターを探せばよい。このウーハーとドライバーを800Hzで各々クロスさせればよい。
この二つのユニットこそが正にサラブレッドJBLなのである。色んなJBLユニットが存在するが他に組み合わせはないと個人的に思う。
ウエスタンスピリッツのJBLは理想に近付いて来た、これが総ての答えではないだろうか。
限界を感じない、まだまだ上手く鳴ると思う。
そして、門前仲町のジャズタカノは晩年、アルテックだが、素晴らしい音になった。その時思った、やはりオーディオは鳴るのだと。
私とは多少目指すところは違うが、昔からのクサヤの様な音ではなく、実に素晴らしかった。ならばJBLも鳴るのだと思った。
オーディオとは本当にどうでも良いような小さな事の積み重ねである。JBLもアルテックも例外ではない。