スピーカー下のインシュレーター
スピーカーからの振動は、機材へ悪影響をおよぼしています。私も理解するのに何年もかかりました。「大した事はないだろう」そう思っていました。
スピーカーの下に板を敷いても、板に対しスピーカーをベタに置いてはいけません。
1㎝角くらいの硬い木材で、スピーカーの振動を受け、素早く下の板に振動を逃がす、これが鉄則です。ここがもたもたしていては次の信号が入りボケてしまうのです。
これにはもう一つメリットがあります。スピーカーボックスの底板が少し浮くため、底板が鳴り、素敵な引き締まったクリアーな低音が形成されるのです。
話は戻ります。その振動を下の板で受けて振動を減衰させる為に、あえて10㎝の板厚が必要なのです。つまり、板の質量が必要なのです。
ここで一言、スピーカーからの振動は、殺すのではなく、木材の質で音を作り、響きももたせつつ適度に減らすのです。そして、さながらホールの様な音が形成されるのです。
ですから、木材の響きを選ぶセンスが必要となるのです。あまりカンカン響く様な木材の種類は良くない様な気がします。
クリアーな低音を鳴らすには、スピーカーボックスの底板を浮かせて鳴らさなければなりません。その状態で初めてスピーカーボックスを後ろの壁につけられるのです。
後ろにバスレフダクトがある場合は、後ろの壁にはつけられず、前後させてベストな距離を探さなければなりません。
その時に、誰かに手伝っていただき、自分がリスニングポイントに座り聞きながら、動かしてもらうのがベストです。
話を壁につける事に戻します。すると後ろから回り込んでいた音が遮断され、後ろの壁がスピーカーボックスの延長の様になり、ユニット各々のかぶりがなくなる為、初めてウーハー、ドライバー、ツィーターがしっかり手を結び、低音が奥から前に出てくる為、素晴らしい音になるのです。
とは言っても、ネットワークがまともならばのお話しです。
もしも、板を敷いて、スピーカーを後ろの壁につけて低音がブーミー(出過ぎ)に感じた時は、ネットワークのレベル調整やドライバーやツィーターの位相合わせを疑うべきです。
新たな事を行えば、次の粗が出てきて当たり前なのです。それを大体の方は元へ戻してしまうのです。これではお話になりません。
何故そうなったのかを、真剣に考えて確実にクリアーしていって欲しいのです。よーく考えてみると理由は必ず判明する筈です。過去の置き方は、悪いから上手く鳴っていなかった訳ですから。
スピーカー下のインシュレーターから大袈裟なお話になってしまいましたが、オーディオは1ヶ所さわると、がらりと音の全帯域が変化するのです。
各自で、色々な木材を探し、挑戦してみて下さい。私は赤タモの集成材を使いましたが、もっと響きの良い木材は存在します。
桜(さくら)、楓(かえで)、黒檀(こくたん)、チーク等が候補にあがりますが、他にも良さそうな種類がたくさんありますが、良いと思った木材は、どれもたいへん高価です。
なのでベニアを重ねて張り合わせるのも一つの手なのです。ベニアは安いですが、それでも効果はあります。
そして、数ある木材の中で、MDFボードやメルクシパインは、音に品がなく駄目です。
では、ご成功を祈ります。