ウエスタンスピリッツのケーブル
ウエスタンスピリッツのケーブルとは一般的な、ウエスタンエレクトリックのビンテージ単線に絹糸を巻きつけたものとはかなり異なります、先ずウエスタンスピリッツはもうウエスタンエレクトリックの線を使っていません、ウエスタンや様々なビンテージ単線は音がボケているからです。
今は総て日本製です、散々ケーブルを作ってきて、ビンテージの単線を使うこと自体ナンセンスだろう、そう思っていますが、過去には勘違いし、いいと思っていたのも事実です。
ウエスタンスピリッツはホットがオリジナルのリッツ線(オリジナルなので、市販されてない)です、しかし、グランド(マイナス)は日本製の普通の1.6mmPEW単線一本です、以前はウエスタンエレクトリックのビンテージ16AWG(アメリカンワイアーゲージ)でした。
被膜は黒に近い紫色でした、そこに平たい綿の帯状のようなものが巻きつけてあっただけです、もう同じものは何処にもありません、音は今からすると暗くボケていたのですが、まあまあでした。
日本のノギスで計ると、1.42mmくらいで少し細くかんじ、色々探した結果、日本製の1.6mmPEW単線をみつけたのです。
一般の自作派の方で私と似たようなケーブルを突き止めた方も何人かいらっしゃいますが、やはり綺麗に絹糸を巻きつけられる方はいません。
オーディオケーブルは、素線の太さのバランスも、端子も繋ぐ半田も絹糸の巻き方も総てが大切なのです。
せっかく素線に巻いた絹糸は重ならないように透けないように、綺麗に均一なテンションで巻きつけないと穏やかな良い音はしません。
ましてやビンテージの被膜など、出所も分からず、そのまま使う気にもなりません。
リッツ線と単線の融合が必要です、市販のケーブルは、私がオーディオを初めてから、ほとんど進歩してないのです、ビンテージをそのまま使うとはオーディオを諦めたかのようなものではないでしょうか?
無酸素銅はもう製造しなくなりましたが、昨今の何Nの音の差など、目隠しで聞いても分かる筈もなく、そもそも何処に何Nの定義があるのでしょうか、みんなでたらめではありませんか、メーカーによって計り方がまちまちになっているではありませんか。
なので個人的に信頼を寄せてる方の薦めもあり、図書館へ通い、リッツ線の表皮効果の改善効果を一から勉強したのです。
その方は『あなたは生業なのだから、もっとオーディオケーブルを理論的に解明して欲しい』こう話されたのです。
そして『リッツ線は数あれど、素線の細さの限界に挑んだ方はまだ誰もいないんじゃないか?』この言葉に私の心は躍ったのです。
昔使っていたウエスタンエレクトリックの0.6mm単線を雛形にして、リッツ線の線の細さの限界を0.12mm単線を27本と定め、それを四本、つまり合計108本になり、それをホットにし、ウエスタンスピリッツリネン(麻糸)巻きシールドケーブルは完成したのです。
リネン巻きの被膜は苦肉の策が生んだ産物で、穏やかで押し殺したような中に透明感があり、ステキな音がします、繋ぐシステムがしっかりしていたら、のお話しになりますが。
市販のケーブルとは比較にならないと思います。