オーディオ考
40年と時間はかかりましたが、ここまで紆余曲折ありましたが、何とか理想の鳴り方になったと思っております。
私がオーディオに出会ったのは、18歳の時にアルバイト先で知り合った、鶴見に住まわれていらっしゃった仮にSさんとおっしゃる方が鳴らされていた、JBL4343Bを聞いてからでした。
今からすると多分、大した音ではなかったと思うのですが、その神秘的なフォルムに驚いたのです。
機械的で無機質な、音以外に関係ないみたいな硬派な感じに惹かれたのです。
それまで私はエレキギター少年でしたが、そのJBLでウッドストックを聞いた時の事でした、ジミヘンが弾いたアメリカ国家を聞いて『こんな音、俺には多分、一生かかっても鳴らせない』そう思ったのです。
それからは毎日弾いていたギターは日増しに弾かなくなりました。
Sさんは、私のギターの音を本気で気に入ってくれ、JBL2120A二発(25センチフルレンジ)でマーシャル用に作りユニットごとくれたのです。
しかし、もう私の思考は再生音側に傾いてしまったので、Sさんにお願いして、オーディオシステムを選んでいただき購入しました。
今、そのシステムは跡形もありませんが、とてもいい音に感じました。
しかし、目の端にJBL2120Aが入り気になって仕方がなくなってしまい、再びSさんに相談したところ『やっぱりこうなったか(笑)』と言われました。
そして、他のユニットもJBLで揃えて、二人でボックスを作りスピーカーシステムを作ったのです。
数年気に入って使っていましたが、後輩が以前私が使っていたスピーカーシステムを購入したと言うので、聞きにいきました、なんとJBLより音が良いのです。
JBLは高音も低音も出ないし中域も薄いのです、後輩が購入したスピーカーとはコーラルでした、軽やかで中身の詰まった立派な音でした。
そして、オーディオの難しさを知りました、このことがなければ私はここまでオーディオにのめり込むことはなかったと思います。
わたしのオーディオが核心をついてきたのは、ここ十年位です、それまではオーディオとは機材の性能や、何を選ぶのかそのセンスが大切と思っていました。
ところが違うのです、確かに何を選ぶのかもとても大切です、しかし、一番大切なのはどう使うのかだということが分かったのです。
中でも一番難しいのは、やはりスピーカーだと思います。
ここがまともに動作しなければ、何を使っても無駄なのです。
私はたまたま四年ほど前に、今の戸建てを建てる事ができて、そこそこ理想のリスニングルームを作る事が出来ました。
部屋の形は理想どおりとはいきませんでしたが、床や壁や電源は理想に近く出来ました。
優れた環境に設置したオーディオシステムは、正しい方向へ私を導いてくれたのです。
オーディオシステムに感情や知性はありませんが、こちらの人生そのものが音になって鳴る、オーディオは自分自身の鏡である、私はこう思います。
まるで何かに導かれるようにここまで来ました、ありとあらゆる実験をやって来ましたが、過去はほぼ失敗の連続でした、コンサートへいかなかったので、基準となる帯域バランスがなかったからです。
しかし、今はしっかりと音はこうあるべきだと基準があります。
なので、聞いてもいない方から誹謗中傷されてもビクともしないのです。
オーディオは完成されております、性能で音が大きく変わってはいけないのです、間違えてるこちらが鳴らせないだけです、すべてのジャンルやレーベルはそれらを飛び越えてそれなりに上手く鳴るのです。
ようは何を使い、どのように工夫して鳴らすのかだと思います。
私はその何故を知らずに死にたくなかったのだと思います。
基本に立ち返り、丁寧且つ確実に行えば、オーディオはあなたになにがしかの答えをくれるでしょう