最近の英ちゃん
今日は母親のお話しです、しばしお付き合いいただけたら幸いです。
母は二年前、脳神経内科で、アルツハイマー型の認知症と診断されております。
今まであまり進行してる様子はなかったのですが、少しずつ壊れて来てとうとう会話にならなくなりました。
自分の腕時計(婦人もの)を息子である私の時計だと言って聞かないのです、そしてそれを言い出すと何故だか機嫌が極端に悪くなるのです、この思考回路が私にはさっぱり分かりません、多分、何かを訴えたいのでしょうが分かりません。
人間対人間の会話で成り立っているのが社会と言うものです、家庭も規模は小さいですが、社会と同じです。
人と人は会話で色々伝達するのですが、単語が沢山出て来て、それを組み立て理解するのが、普通の会話です、しかし認知症は記憶力が極めて低いため、言葉の組み立てが出来ないので、全くちぐはぐな答えが帰ってきて会話にならないのです。
そして、気温差を感じないのか、春夏秋冬同じ服装で、靴下を何枚も履いているのです、お風呂を入れてあげても入りません、ディサービスにいかせていた事もありますが、何故だかその日に限り血圧が高く、お風呂は無理ですと言われてしまいます。
当然、美容院など行くわけがありません、なので頭は落ち武者のようになっていて、ぴんどめで禿げた所を隠していますが、バレバレです。
いわゆる着た切り雀です、最近、近所の方の旦那さんの方が亡くなっていたそうです、確かに少し前から奥様の感じがおかしかったのです。
近所の方のお話によると、亡くなってから十日ほど経っていて、旦那さんはかなり変わり果てた状態で発見され、部屋の中には奥様が買ってきた旦那さんへのおにぎりが沢山腐った状態で放置されていたと聞きました、奥様は、もう亡くなったと分からないご主人の為に、せっせと買い物に行っていたのだと思います。
お二人とも身寄りが誰も居ないみたいなので、旦那さんは無縁仏に、奥様は認知症が酷く、民政員がどこかに連れて行ったそうですが、多分、施設だと思います、もう見かける事はなくなりました。
それに比べ母は家内と私がお世話しているので、まだ良いと思うのですが、認知症の人の介護は語り尽くせない程大変です。
私と母は、親子であるが故に残酷な面もあるのです。
そして母は、何の考えも目的もなく訳の分からない行動をしてしまうのです、私たちが去年、球根から育てていて、やっと咲いたチューリップを切ってしまったのです、その行動の意味が分かりません。
母なりにその時はちゃんとした理由があったと思うのですが、普通の人は花壇に咲いてる花を切ったりはしないですね。
でもたった一つの救いは、母には暴言をはいたり徘徊がまだないことです、でも母がひとりでやってる事は総て普通の人とは反対なのです、間違えていると言う事です。
食器は洗っていると言うのですが、油ものを食べたお皿も水だけで洗っている為、全部ベタベタです。、洗ってるところを見ていても洗い方がめちゃめちゃです。
もう洗剤を忘れてしまったのです、そして、何時も冷蔵庫の中に醤油と味の素が入っているのです、何万回伝えても覚えられない為、同じ事を繰り返すのです、しかしその行動にも本人の中では意味があるのだと思います。
一日中、同じ会話しかしません、最近は昼か夜かも分からなくなって来たようです、気温差や季節はもう分かる筈がありません。
春夏秋冬同じ服装でいます、靴下は夏でも三枚履いて寒いと言ってます、そして、ずっと風邪だと話しています、額を触っても熱はありません、当然、体温計で計っても熱はありません。
熱もない、喉も痛くない、咳も鼻水も出ていない、節々も痛くない、そんな風邪があるでしょうか?でも母から言わせると風邪なのです。
ケアマネージャーの力も借りて色々やってみたのですが、どうにもなりません。
しかし、大切な母を施設に入れる事だけはしたくないのです。
もしも我々夫婦が不慮の事故か何かでいなくなったら、間違いなく母は施設に連れて行かれると思います、もうその位のレベルなのです。
でも最近の母は穏やかです。
母よ、あなたが穏やかで居てくれたら俺は他に何にもいらないよ。
三人でおもしろおかしく暮らそうよ。