ノイズカットトランス2
かなり長文になります、しばしお付き合い下さい。
マルチシステムの中の、三台のパワーアンプのノイズカットトランスを外してから、十日ほど聞いてきた。
馴染んで来たのか変化は減少し安定してきた、以前と比べ感じるのは、低音の引き締まり方やその帯域幅と量、全体的に見晴らしが良いことである。
昨日の夜から配線の取り回しやトランスの向きを考えていた、ようやく頭がまとまった、家内は一階の窓の掃除をしている。
「よしっ!やるなら今だ」そう思いプリアンプと左右二台のチャンネルデバイダーのノイズカットトランスを外した、思考はまとまり、手順は決まっていたので、作業は簡単に終わった。
残すはCDPとマスタークロックジェネレーターと、アナログのターンテーブルの合計三台のノイズカットトランスであるが、ここは必要な気がするので今回はそのまま残した。
鳴らして少しの間は力なく大人しい音に感じたが、次第に本来の性能を発揮して来た。
その前に部屋を整理整頓して、レコードも入るべき所にしっかり収まり、いらないものを沢山捨てて、部屋を広くした、やっと正しい答えが出たのだろう。
左のウーハーからだけノイズが出ていた、トランスの向きや位置を換えただけでノイズの音はコロコロ変化した、でもノイズは止まらなかった。
ならばドライバーやツィーターもノイズは聞こえないが「かなりの影響があるだろう」そう思い先に検証した。
そしてプリアンプもチャンネルデバイダーも、ノイズカットトランスを外そうと思っていた、外してみて感じるのは、明るいとか軽いとか薄いとかでなく、多分こちらが正解だと思う。
穏やかで気品のある感じがある、情報量も桁外れに増えた、私にとってのオーディオが趣味ならば、そのままでも良かったのだが、私は生業である、独特な鳴り方ではいけない、まともな癖のない音とはどんなものなのか、鳴らしてみたいと思った。
ノイズカットトランスを外してみて「このシステムはまだこの上の鳴り方が存在する」と思った、そして今更馬鹿みたいだが、初めてイシノラボのマルチシステムの性能を聞いた気がする。
ノイズカットトランスを繋げ過ぎると、音は確かにボケるようである、そしてノイズが出る。
今はCDを聞いているが、開放的で同じものを聞いているとは到底思えない。
鳴らしているとどんどん変化して来た、特に中域から高域にかけての変化が大きく感じる。
とても抜けが良くなり綺麗で吸い込まれそうである、何時も話すが、これはあくまでも私のシステムではの結果である。
この時CDは、ずっとアルヒーフ(ドイツ盤の)バロックを聞いていた。
そしてアナログを聞いた、ビル・エバンスのMoon Beamsである、そしてUSA・フォー・アフリカ(ウィアーザワールド)も聞いた「うんっ?おかしい」何時ものように上手く鳴らない、音が団子のように絡まり、、スピーカーの中に入ってる感じになってしまった。
針圧を調べてみた「ありゃりゃ軽くなってる」ダストカバーを外す時にウェイトにあたったかな。
時間をかけて一からトーンアームの調整を総て合わせ聞いて聞いてみた「うんっ!この音だ」良かったが、アンプ系のノイズカットトランスを総て外して分かったのだ、ノイズカットトランスを繋ぎ過ぎるとここまでボケるのである。
しかしまだ少しおかしい、何故なのか考えた。
ノイズカットトランスは、随分無駄遣いしたようだが、オーディオにはつきものと諦めるしかないようである、でも徹底的に総てやってみない事には分からなかったのかも知れない、しかし、人生に無駄な事など何一つない。
一カ所繋げてみて、その時は達成感からか、いいと思ったのだが、それを総てに繋げてみていいか悪いかは個人の判断によるのかも知れない、もう少しの時間の経過が必要だったのかも知れない。
ノイズカットトランスを随分と悪者扱いしてしまったが、ウエスタンスピリッツも総てを外した訳ではない。
CDPやマスタークロックジェネレーターやアナログのように、繋いだ方が良いところもあるのである、しかしそれすら危うくなってきた。
ウエスタンスピリッツのシステムでは、トータルでやりすぎたと思ったが、これすら今は答えがない。
でも外したばかり、例のごとくまだ結論は出ない。
後日、またご報告致します。
それから一週間聞いてきた、やはりこちらの方が圧倒的にしっかりしている、しばらくこのまま聞くことにした。
多分再びノイズカットトランスをアンプ系に繋ぐことは私はないと思う。
それにしても次なるあらが出て来た、アナログである、まだ何かがおかしい、ノイズカットトランスは、アナログには必要な気がする。
理由の一つにアナログ(technicsのSP‐10MK2)の電源ケーブルである、少し前ノイズカットトランスと繋ぐために被膜を剥いた時、かなり中の線が錆びていたのが気になった、交換したほうが良いのかも知れない。
交換する電源ケーブルは購入してある、太さはオリジナルの電源ケーブルより一回り太い位、太さはあまり問題とは思えない、ケーブルが錆びている事が問題だと思った。
それとノイズカットトランスの設置場所である、今までは左のウーハーの真ん前に設置してあった、これをスピーカーからかなり離し、縦横に距離をもたせ設置してみる。
ノイズがなくなりしっかりした音になれば良いのだが、こればかりはやってみない事には分からない。
音質改善が成功した場合、今まで弱かった所が悲鳴をあげる、今回もそうだった。
今回私は一台繋げてみて良かったからと、次から次へと沢山のノイズカットトランスを繋げてしまった、そして前後関係を見失ってしまったのだと思った。
今までも何度か外したりしてみたのだが、思い込みとは恐ろしいものだと思った。
technics SP‐10MK2は別電源になっており、本体とはキャノンケーブルで繋がっている。
そこではなく別電源の電源入力端子へ、古いケーブルを外し、古い半田を綺麗に端子から吸い取り、新たなケーブルを絡ませ、しっかり半田付けするのである。
やはり古い半田は劣化していた、半田は新しいケーブルに見事染み込んで行った、四方八方全部確認したが、半田は裏までしっかり綺麗にまわっていた、半田付けは成功である。
まだ半田を終えたばかり、丸三日(72時間)は答えを出してはいけないが、ノイズは以前の半分、成功と言っていいと思う、今からするとになるが、音には力も穏やかさもなかった事になる。
当然、別電源の回路やヒューズの接点も総て清掃したり、半田の劣化してるところは、古い半田を吸い取り、再度半田付けしておいた、選ばれたる半田で。
音は各段に良くなった「もっと早くにメンテナンスするべきだった」そう思った。
やはり、一歩一歩確実に妥協なく最後まで丁寧に行わなければならないと思う。
それには経験を積み、どうして上手く鳴らないのかを的確に判断出来なければならない、そして素早く確実に対処しなければならないと思う。
音が良い悪い、よく話に出るが、大体はそれ以前の問題なのである。
私はまだまだだが、一歩一歩更なる高嶺を目指したいと思う。
そして丸三日(72時間)聞いてきた、ドライバーが全く跳ねたようなうるさい音を鳴らさない、かといって余計な響きのような妙な音もない、低音は明らかに更に低い音階を再生するようになった、気持ちがいい。
クラシックを聞いてもジャズを聞いてもJポップを聞いても、録音されたそのものを聞いてる感じがする。
やはり錆びた電源ケーブルはいただけない、やっとスピーカーにへばりついたような嫌な鳴り方は消え失せた。
アナログに繋いだノイズカットトランスの位置や、距離を換えたのもかなりきいたと思う、総じてのびのびしていて、ゆったりとしていて突っ張ったところがない、音は素早く聞こえるが、それが音楽をゆったりと聞かせるのを知った。
まだまだ勘違いとは思うが、またかなりの高嶺に登る事が出来た、それにしてもオーディオとは人生そのものだと思う。
いくらでも今よりは上がある、いくら登っても必ずその先がある。
やめられない。
オーディオよ…我が人生よ…家内よ…ありがとう。