去年二月からを振り返る
ウエスタンスピリッツが東京の調布市国領から千葉に越してきたのは2013年2月21日である。
とても寒い日だった。晴れていたが、気温は昼間でも7℃位だったと記憶している。
朝一番から運んでもらった引っ越し荷物が、なかなか入らず、総て運び終えた引っ越し屋さんが引き揚げたのは夜の八時位である。
一日仕事になり大変ご迷惑をおかけした。そして早速オーディオシステムを繋いで鳴らした。実に酷い音だった。
その音の酷さのピークは一週間位で、だんだん肩の凝りがほぐれるかの様に1ヶ月位かけて少しずつ解れていった。
しかし、なかなか電源(屋内配線)や壁や柱がオーディオと馴染まないのである。「部屋は楽器の様なものだ、焦らずじっくり待て」そう父が話したのを覚えている。
初め私は、「せいぜい半年位で馴染むだろう」とたかをくくっていた。結局良い響きになったのはここ1ヶ月くらいからである。
父が焦らずじっくり待てと名言を残してくれたが、焦りあがいた。しかし知らない内に確実に一歩一歩実験は進んでいたのである。
このブログに総て公開したので、省かせて頂くが、ミスもたくさんあり購読された方にはずいぶんご迷惑をおかけした事も多々あると思う。
しかし、ご勘弁願いたい、ミスをするのは成功を目指すからである。失敗を繰り返してはいけないが、色々な方向から時には振り返ったりして見つめ直さなければ分からない事がある。
それは過去の間違いや、己の経験値や理解度、はたまた技術のなさが複雑に絡まった糸の様なものである。
なぜこうなっているのかを正確に掴み理解し、確実に対策を講じていく、それしかないのである。
「私は間違えていない」これが貴方のオーディオの進歩をくい止めている。間違いに気付かないのは、永遠に進歩がなく、分からないので幸せな事だが、愚かな事である。
知らない事を認めよう。私の新居でのスタートは、そこからだった。
しかし、自分で話すのも馬鹿みたいであるが。よくぞわずか一年でここまでの音に仕上げたものだと思う。
個人的に時間があるのは確かなのだが、どんなマニアがいらしてももうびくともしない。私には感性と慣れと、何よりたくさんの耳の肥えたお客様がいらっしゃるからである。
特に千葉のI氏である。彼は、木材の使い方や端子の清掃、そして、コンサートホールの音を誰より実に詳しく熟知されている。しかし、それでも尚、貪欲にコンサートに行き続けて何かを得ようとしているのである。
こんな方に勝てる筈がないと気付き、私は全面的に慕い、教えを乞い、今回板をたくさんシステムの下にアドバイスどおり敷いたのである。
結局その振動対策が、今までどうにもならなかった最後の壁をぶち破ったのである。それにしても、世の中には凄い方もいらっしゃるものだと思う。
私などまだまだ駄目である。良い音になったと喜んでる場合ではない。良い音になったシステムで、更なる研究をして、更に優れたケーブルを作って差し上げる事、これがI氏への私が出来るただひとつの恩返しだと思った。
ウエスタンスピリッツの実験が終わる事は、これからも永遠にないだろう。
一年を振り返り、こんな心境である。
千葉市のIさん、本当にありがとうございます。