更に、SPUの針圧を追い込んだ
今までは、3.23gだった、今回は3.50g迄極端に上げてみた。
カートリッヂは、同じ機種でも一つ一つ微妙に適正針圧が違うものである。
3.23gの時の様なフルフルした低音がなくなり引き締まった。そしてジャズを聞いたとき、まだ僅かに不鮮明に感じていた中低音がクリアーになり、更にうるささがなくなった、と、思ったが、さっぱりし過ぎて、下が少し寂しい気がした。
そして細かく上げたり下げたりを繰り返し、3.25gに決定した。とは言っても厳密に言えば、針圧は計る度に微妙に変わってくるからなかなか難しい。
一番歪みが少なく、ダイナミックレンジの広い穏やかなところを選択した。
しかし、前回千葉のIさんが最後に言いはなったアナログの音が前回よりも薄い感じがしたという言葉が気になった。
前回迄キャビネットは2.5㎝厚の赤タモの集積材一枚だった。とすると前回は適度なエネルギーロスがまだ残っておりハウリングマージンも少なかった。
その下の四面に3㎝の厚さのチークの角材を寄木の様に四本張り合わせて、キャビネットのマスを稼いだのである。すると格段にハウリングマージンも上がった。
そしてその時にトーンアームの下に大きめなチークの3㎝厚の板を張り合わせたのである。その結果、ターンテーブルやトーンアームの本来の歪みのない実力が発揮された事になる。
それで今回針圧も触ってみたのだが、Iさんとの話し合いの中で出てきた「プリとパワーを繋いでいるノンシールドケーブルの影響ではないか?」はとても的を射ていた。
そのお話を聞いとき、少し前のお話になるが、直ぐにプリパワー間のケーブルをシールドケーブルに戻してみたのが良かったのである。ウエスタンスピリッツのアナログは太く濃厚な音になった。
この結果が物語る様にオーディオは必ず、本当に優れた物が良い音を鳴らす事が理解出来る。
しかし、その前後関係を正しく理解しないとなかなか上手くトータルでバランスさせる事が出来ないのである。
オーディオは正しく設置され、正しく調整されていれば間違いなく上手くなるのである。上手く鳴らないのは何処かがおかしいからで機材の優劣ではない。
針圧調整は、まだ完璧とは言いがたい、とても難しいと改めて思った。
そしてトーンアームの調整が決まれば今度は別の方向から新たな粗が顔をのぞかせるかも知れない。
これで良いではなく。絶えず考え、自分が音を良くしようとやった行動を常に疑い、間違いに気付き、正しく直す。そして、新たな扉を開けてゆく、これがウエスタンスピリッツのオーディオスタイルである。