インシュレーター素材
ウエスタンスピリッツは昔から様々な素材で試してきた。鉄、銅、真鍮、鉛、アルミ、ステンレス、ゴム系(ブチルゴム等)、アクリル、硝子、木材、フェルト、耐震ジェル、これら総ての混合の比率や色々な形状、これらを何度も機材やスピーカーの下や機材の下に敷いて試してきた。
総ての個体には必ず固有の音色があり、機材の下に敷いた素材そのものの音が再生音に乗る事になる。
たくさん使った中で一番良いと思ったのは木材で、次に金属の中では鉄が良かった。鉄でもクロモリ(クロムモリブデン)つまり真鉄(まてつ)である。
銅と真鍮は音が似ていて濃くなり、あまり響かない。アルミは低音が伸びず、渇いた粗い音になる。鉄はしっかりするが、少しうるさい。
アクリルは軽く明るい音になる。ガラスは素材のキンキンした音が付き、あまりオーディオに向かない気がする。
ゴム系はボヨンボヨンの力のない余計な音が付き、明らかにエネルギーロスを起こす。特にブチルゴムがその典型である。フェルトは使うところを選べば(ドライバー等の裏ぶたの内側)優れた効果がある。
木材は色んな種類があるが、アフリカ黒檀や青黒檀やチークやサクラや楓が一般的である。金属と違い、上記の木材は、そこそこの重さと固さがあるが、内部損失が適度にある為、スピーカーや機材の振動を素早く下に逃がす事が出来る。よってインシュレーターとして適度で、響きが良い。
さてここまで振動対策をしたので、知り合いをお呼びした。その方は、私の振動対策の方法をあまり良く思わなかったようである。
その方は、TADのユニットを120㎏の頑強なボックスに入れて、下にタオックのスピーカースタンドを使い、そのスタンドに耐震ジェルをたくさん張り付けて振動対策をし、確かに素晴らしい音を再生している。
こうもお話をされた、私のアナログではターンテーブルの回転をとめて、針をレコードに乗せた状態でプリのボリュームを最大にあげてもハウリングは起きない。後日気が付いた。彼のアンプは真空管である、出力が小さい、こちらはGASのアンプジラであり250Wである、出力がまるで違うのである、その会話は成り立たない。
しかし、ウエスタンスピリッツは、床にベタに敷いた分厚い板の上に小さな青黒檀でスピーカーを1.5 ㎝ほど浮かせて設置して音がかなり良くなった。
つまりウエスタンスピリッツの考えは、小さな青黒檀でスピーカーの振動を受けて、素早く下の分厚い板に振動を逃がし、下の分厚い板の質量で振動を減衰させ響きも付けようとしてる訳である。
でもその方は、試聴の七時間のあいだ、終始青黒檀を外して底に耐震ジェルを張り付けてみたらどうなるだろうか、それともう一つ、ドライバーとウーハーのクロス辺りに歪みを感じる、との事だった。
そしてCDの下にアルミを敷いてみたら、との事である。耐震ジェルもアルミのインシュレーターも再度試したが、圧倒的に音が悪くなったのである。そして何度もキャスターの利便性を語っていた。でも総ては悪気はなくこちらを真剣に思っての事だろう、ありがたい。
彼と私のやり方は上記のとおり、根本的に違うのである。スピーカーや機材の下に敷く素材はとても大切である。他にも方法はあるとは思うが、ウエスタンスピリッツはこれで完成だと思う。
でも彼が最後の方に話していらした、ドライバーの音にクリアーさと情報量の欠落を感じるは、確かにこちらも思いあたる事がある。
去年の事であるが、ネットで知り合った方の情報を信じ、色々付帯音対策と称しダイアフラムをドライバーの裏蓋も含め改造したのである。
それからドライバーの音にクリアーさがなくなり、他の余計な音が付いた気がしている。しかし、その時はまだ振動対策をしていなかった。なかなか気付かなかったが、振動対策を徹底的に講じた今、それが粗になって出てきたのかも知れない。
ウーハーも付帯音対策を行ったが、今のところ悪影響はないようである。とにかくウエスタンスピリッツのシステムは、エネルギーロスを減らした為、弱い所が次々と悲鳴をあげるのだと思う。粗はまた必ず出てくるだろう、そこを一つ一つ確実に潰して行くしかない。
スピーカーや機材の下に敷くインシュレーターは、みなさんも気合いを入れて選んでいただきたい。