葛西のN
とは言っても三十年来の友人である。今はタンノイGRFメモリーを使用している。以前このブログにも登場された。古いアパートに住まわれていて、YAMAHAのNS‐1000を使っていた方である。物凄く端正な鳴り方だった。
そのNの音を聞いて、オーディオは値段でなく、研ぎ澄まされた感性が必要と分かった。
いや、むしろその使い方なのだと思った。
本来Nは五味さんの崇拝者で、セッティングの仕方に問題があるとの持論なのだが、今日はとりあえず今のウエスタンスピリッツの実力を聞いてもらいたかった。
さてどんな結果になるだろうか。
私はこの日をどれだけ待ちわびただろうか。
ボーカルが左に寄っているとの事だった。暫くそのまま聞いていた。今日はセッティングの予定はなかったのだが、やはり私も気になった。
右側のスピーカーを僅に外側に振ってみた。音はやはり左に寄っているままだった。気になったので私もセンターに座らせていただいた。
うんっ?私が聞くと音は完璧に右によっていた。そこでNは気が付いたようである。とりあえず右のスピーカーを壁に付けてみた。
右側のスピーカーから音のかぶりがなくなった。そして、結局左のスピーカーも壁に付けて設置した。
定位はまだまだだが、二本のスピーカーの音色は揃い、穏やかになり低音がオクターブ下にのびた。
もう少し追い込みたかったが、とりあえず今日はここまでにした。Nは多分私の実力を試すのだろう、暫くそのまま聞いた後、スピーカーを僅かずつ動かし細かく調整してみろ、との事である。
しかし、今日の段階でかなりの音になった。やはりNは生粋のプロである。ありがとうN。
その後は飲みに行き、二人で美酒をしこたま飲んだ。昼間のセッティングで大量に汗をかいたので、最後の方の記憶は飛んでいた。
次の日、音はとても穏やかに広がりを伴い鳴っていた。