千葉のIさん宅へ
少し前にご連絡があり、以前試聴の時に私が指摘したとおり、ユニット配列を改善されたとご連絡が来た、嬉しかった。
とりあえず高さを試すために、間に合わせの安価な白木のスタンドの上にツィーターが設置されたとの事だった。
そして前回は、ホーンもツィーターを横に設置するため少しずらされていた。ウーハーはウエスタンスピリッツの様なホーンのボックスではないので、まだ良いのだが。やはり上は総てホーンなので縦軸に揃えた方が経験上、位相を合わせやすいのである。
そしてもう一つIさんはツィーターのネットワークがスピーカーボックスの上に置かれていた。これではせっかく大枚をはたいて購入されたエール音響のツィーターが台無しである。
スピーカーから隔離して、作りなおす様お伝えした。そしてコイルやコンデンサーの向きもアドバイスしてみた。
それが本日、総てお伝えしたとおりになっていた。一時間半のエーヂングの後、聞いて驚いた。確かに白木のツィータースタンドの音は駄目だったが、他は欠点がみつからない。
Iさんはこの後、楓の木でツィータースタンドを注文される。さてそうなったらいったいどうなるのか考えるだけでワクワクする。
私はアルテックを自分でも使い、何百台となく聞いてきた。こんなに端正に鳴ったアルテックを聞いた事がない。
数年前Iさんのアルテックは実に酷い音だった。艶も力も定位もなかった。しかし本日、アルテックなので音は軽いが実に濃厚で滑らかでまろやかで爽やかで開放的な音だった。
CDとアナログ両方聞いたが、実に上手く整って鳴っていた。特にアナログは楽器の分離に優れ、歪みを感じない立派な音だった。
私は、ウエスタンスピリッツとIさんの違いを考えた。
Iさんは、床が畳である。CDプレーヤーや、プリやパワーアンプや、ツィーターや電源コンセントや、機材の下に敷いてる木材がウエスタンスピリッツよりも遥かに高額である。
ウエスタンスピリッツはケーブルが短く、接点が少ない、部屋が新しく、床は頑強な木材である、そして電源が総て単独である。
私はIさんに、よくここまで鳴らされましましたね、まいりました。と初めて感想を、お伝えした。
そして、オーディオの試聴は終わり、Iさんは拘りの食材を食べさせてくれた。メロンはハネジュ(ハニーデュウ)に生ハムプロシュートを乗せ、黒胡椒を適量。それと、水茄(みずなす)に拘ったチーズとトマトの白ワインビネガー漬けを乗せ、ルッコラを散らせ、そこにやはり黒胡椒を適量。めちゃくちゃ美味しかった。
それにしてもハネジュはとても大きく、日本のメロンと比べ、甘すぎず瑞々しく全く異なる味だった。一言で爽やか。
フランスの白ワイン シャブリが飲みたくなった。
食べ物とオーディオへの拘りは何処か似ている。ここまで書いて来て、良い言葉が見付かった。Iさんのアルテックはハネジュの様にまろやかで爽やかな音がした。
我が家に帰りウエスタンスピリッツのシステムの電源をオン!一時間半鳴らした後、同じCDを聞いた。
おおっ!音色は違うが、ほぼ同等である。Iさんの音は濃く近い。それに対しウエスタンスピリッツの音は少し遠く、クラシックのホールに例えたら二階席。お互いここまで来たらもう、アルテックとJBLのメーカーの違いみたいなところではないだろうか。
普通のレベルのJBLならば何を聞いてもかぶり付きみたいな音、クラシックは指揮者の位置、つまりルーペで覗いた様な鳴り方になる。
ウエスタンスピリッツもIさんもかなり極限に近いところ迄来たと言える。
Iさん、いつも美味しい音と味をお伝えいただきありがとうございます。