穏やかさとクリアーな音
オーディオは、これをバランスさせるのがとても難しい。とは言ってもネットワークの定数変更や、固定抵抗の音量調整のバランスの事ではない。
確かにネットワークの定数バランスや固定抵抗の音量調整が上手くいってない場合もあるが、今回のお話ははそこではない。
意外とケーブルだったり、ピン端子や半田の質であったり、トーンアームの調整がずれてたり、スピーカーケーブルの端子が緩んでいたりしていたことがあった。
そしてたくさんの端子の錆による経年変化による劣化等がある。日々少しずつ劣化してくるのでなかなか気が付かない。
機械なのでオーディオに絶対はない。そして、自分は絶対に間違えてない、この思い込みがいけないのである。
端末の清掃は遅くとも半年おきである、忙しい方でも年末の大掃除の時に行うと、音が軽やかになり、気持ち良く新年を迎える事が出来る。当然他の粗も見つかり音質の改善になる。
先に書いたトーンアームの調整は出来る限りシビアに追い込んでもらいたい。特に針圧は夏と冬では違う。
カンチレバーを支えるダンパーが気温で柔らかくなる夏は標準に、ダンパーが固くなる冬は高めに設定すると良い。
そして高さ調整である。1㎜上下するだけで音はコロコロ変わる。またその差を聞き分けられないとオーディオは出来ない。
最後にラテラルとインサイドフォースキャンセラーのバランスである。必要ないと話されてる大評論家様もいらっしゃるが、とんでもないお話である。
個人の力量が試され、ドンピシャ合えばとても素敵な音になる。貴方のアナログの音はそこで構築されるといっても過言ではない。
CDならば規格内にはまっているので、あまり大きな音質改善は望めないが、ピックアップのレンズの清掃や、出力端子や電源ケーブルの清掃。そして、ノイズカットトランスを繋げてみるのも音質改善の一つの方法である。
CDのピックアップのレンズの清掃は、綿棒にエタノールを少量染み込ませ拭き取ると汚れが良く取れる。市販の安易なレンズクリーナーは、ピックアップのレンズを傷付けるだけである。
そして、もっと上級者は端末の半田留めをお薦めする。トーンアームの内部配線やアンプの内部配線を出来る限り質の良いものに交換していく。
そしてヘッドシェルのリード線に迄拘り、その総てを留めている半田そのものにも拘わって欲しい。
ウェスタンスピリッツはトーンアームの内部配線迄リッツ線に交換しエンドの5ピン端子迄外し、そこに引き出した内部配線とPUケーブルを直に半田で留めている。
しかし、この作業は難易度が高く、少しのミスでトーンアームをお釈迦にしてしまう可能性があるので、自己責任に於いて行っていただきたい。
この時の音質改善は、計り知れない程だった。
オーディオはマトリョーシカの様に次から次へと粗が出てくる、それを一つ一つ潰していくのであるが、マトリョーシカはだんだん小さくなる、オーディオの粗もそれと似ている。
次第に変化は小さくなるが、それが少しずつ降り積もり、最後にはとても大きな差になり鳴り方にでる事になる。
穏やかな音とクリアーな音のバランスを取るとはこう言った事である。しかしどれも簡単な作業ではない。貴方の技量が試される。