低音再生
じっくりクラシックのCDを聞いていた、実に低い音階が再生されている。
しかし、しっかり聞いてると、低いと思えた周波数はそれほど低くない事に気が付く。
ウェスタンスピリッツはJBL 130A(38㎝)を4560BKに入れて聞いている。ウーハーの付帯音が確かにある、音楽信号より僅かに遅れてそれとは別の、大きなウーハー独特のコーン紙の分割振動と、更に遅れてボックスの唸りがある。
4560に限った事ではないがそれら音楽信号とは違う別の付帯音がとても気持ちいいのである。
そして、ボックスから放射された音は、部屋の中に置いてある様々な家具や壁や床や天井にぶつかり、色んな音に変化するのである。
これは生演奏のホールでも同じだが、やはり計算された響きをお部屋で作るのとは話が違うのである。
スピーカーは振動板が、前後にしか動かないが、ユニットが大きくなれば分割振動を起こし、波形が適度に歪むのである。
世界には色んな名機と言われるスピーカーが存在する。しかし限られたユニットを最大限上手く鳴らすように作られた、サラブレッドの血をひくスピーカーボックスはあまり存在しない。
これらを総合的に考えるに、やはり、スピーカーボックスは低音再生に大きな意味を持つのだと思う。
その低音が上手く鳴らないと、ドライバーやツィーターにまで音質は影響するのである。
しかし深く考えると、どこがどうなっているのかさっぱり分からない。オーディオは人間が色んなものを合わせて作った幻の様なものに感じてきた。
一つとして確実に繋がっていないのである。たくさんの周波数を再生する複数のユニットを空間に並べ、それを上手く繋がる様に繋ぎ合わせ、絶妙なバランスで鳴らしている様なものである。
低音をじっくり聞いていると、つくづくオーディオはとんでもなく難しい趣味だと思った。
上手く鳴らすにはメーカーの基本性能もあるが、やはり、使うこちら側のセンスなのである。