素早い音
私は個人的にポンチョ・サンチェスが好きである。南米系の音楽で、コンガやティンバレスが入っており、他にはピアノやトランペットやフリューゲルホルンやバルブトロンボーンやテナーサックスやフルートやピアノやウッドベースが入っている。
しかし、聞いていると、これだけたくさんの楽器が演奏されているのに、音の空間があり、実にシンプルな演奏である。
聞いてるとライムをグラスに刺したコロナビールを飲みながら、野菜を沢山包んだ激辛タコスを食べたくなる。
たくさんの楽器の中で、特にティンバレスの音がとても面白いのである。
久しぶりで聞いたUSA盤のConcordレコードはとても素早い音で開放的でとても上手く鳴る様になっていた。
以前はもっとボリュームを上げて聞いていたが、今は小さな音にしてもしっかり鳴るので聞いていて疲れない。
引っ越してきて去年聞いたポンチョ・サンチェスとは全く違い、実に軽やかで爽やかな鳴り方になったものである。
これでも付帯音はあるが、実に切れが良くなった。今からすると去年の音はまだまだトロかったのがハッキリ分かる。数々の実験結果が少しずつ安定して来たのだろう。
以前のウェスタンスピリッツの音はもっとゴンゴンしていてドカンドカン鳴っていた気がする。その鳴り方すら一般的なJBLは鳴っていないのである。
これは千葉のIさんのご指摘をいただき、スピーカーやラックや機材の下に、3㎝厚の赤タモの集成材を3枚重ねて張り合わせ、敷いてからである。
音は強く太く前に出てくるが、楽器そのものがスピーカーよりも奥にいて、そこから楽器本来の鳴り方をしているかの様である。
友のNに言わせれば、多分セッティングはまだまだだと言われてしまいそうだが、今の段階でも充分に定位は良いと思う。
スピーカーとスピーカーの間に展開されてる演奏そのものに聞こえる。
チキチキハリハリと切れ良く鳴っている。一瞬で音が立ち上がり、直ぐに次の音が鳴り、その展開が目まぐるしくまるで見える様である。
そして、あり得ない位低い音階が鳴っている。最近何を聞いても常に新発見があり楽しくて仕方がない。
でも手前味噌だが、この音は私が作った絹巻きリッツ線でしか鳴らないと強く感じた。
最近仕事を忘れて、色んなレコードをたくさん聞いている。
本当に鳴った素早い音とは、一瞬で立ち上がり直ぐに消える、以外と優しくも柔らかく広がった音である。クリアーな音になったシステムでしか聞けないと思う。