神保町 喫茶店さぼうる
何年ぶりだろう、急に神保町にあるキッチン南海のカツカレーが食べたくなった。
私は大学に通っている頃、御茶ノ水から楽器(ギター)を探し歩いて、キッチン南海のカツカレーと出会った。
ルーが真っ黒で意外と味はマイルドで少ししょっぱい、しかし私はずっとキッチン南海のカツカレーが大好きである。
関東の八月はまだ茹だるほど暑い、そこであえて熱いカツカレーを、大汗をかきながら食べるのが好きなのである。
今日も大量の汗をかいた、食べた後、当然、空調のきいたところでアイスコーヒーが飲みたくなる。キッチン南海のカツカレーはしょっぱいので喉が渇くからである。
三十分もすれば冷えて来て、乾かない汗が冷たく寒い位になる。これがまた気持ちいいのである。
この喫茶店の名はさぼうるである。中一階と中二階、そして、地下もある。
この喫茶店へ来ると、新居の山小屋のようなリスニングルームが古くなった様な錯覚を起こす。むき出しになった天井の感じと、柱が多く何となく我が家の三階と似たような感じなのである。
私の学生時代ここは既に古かったと記憶している。店の中に居ると、まるで映画のセットの中にいるようである。
店の入り口の扉をカランッ!と鳴らし、今にも若かりし頃の松田優作が探偵の姿で、大きな体を丸め入って来そうな雰囲気である。
ありがとう、キッチン南海、ありがとうさぼうる、まるで若い頃にタイムスリップしたみたいだった。
改めて神保町を眺めて見ると、人の流れも質も変わり少し寂しいが、この2店舗は確かに存在した。