MM対MCカートリッヂ
別に戦わせようとは思わないが、両者にはどうしても越えられない音質の壁がある。
一般的に、MCトランスやMCヘッドアンプなど、余計なものを必要としないからピュアな音が聞ける、と、私も思って疑わなかったMMカートリッヂ。
しかし、ある時、人に言われて気が付いた、ピアノの高い音階を強く弾く音や、バイオリンの音に独特な頭の上を突き抜ける様な音がMMカートリッヂには確かにある。
私が聞いてて特に気になったのは、シュアーのカートリッヂだ、それが分かってからはシュアーを使っているどこで聞いてもその音は気になった、シュアー以外でもMMカートリッヂではその音になる傾向が分かった。
それが、コイルとマグネットの距離の問題なのか、針交換を出来る構造に問題があるのか、または、その音質がMMカートリッヂの魅力とされているのか?それは分からないが、どうにも気になる音だ。しかし、音の切れは良く、スピードも早く、特に低域の立ち上がりとトレース能力はMCより優れていると私は思う。強いて言えばサテン(M-21)に近い、しかしサテンの音は調整は難しいが、高い音域が跳ねて聞こえる事はない。
しかし、オルトフォンやデンオンはじめ、最近の高価なライラを聞いてもその不自然な音は感じない、その総てはMCカートリッヂなのだ、私はそれからMCカートリッヂが好きになった。
自然に聞こえるからだ。
私は今、MCヘッドアンプ派になっているが、MCトランスを通すとそれを更に決定付けた。
トランスは高域が丸くなり、低域も少し減り、中域にエネルギーが集まる気がするからなおさらだ。
一度自分の部屋でMMとMCを双方お持ちの方は、トーンアーム調整をしっかりやって両方を公平に聞いてみてもらいたい、好き嫌いはあるだろうが、音が素直なのは多分MCカートリッヂである。
そんな経緯もあり、私は最近MCカートリッヂを買い漁り、今回デノンのDL-103の新品をあえて購入してみたのだ。
何がピュアなのか分からなくなるが、何度繋ぎ変えても私の答えは変わらなかった。
ピュアなのはMCカートリッヂの方だ。
と言うより、私はそう聞こえた。