オーディオは独りでは出来ない
みなさんお仲間はいらっしゃるでしょうが、ことオーディオになると独りでひっそり楽しんでいませんか?
私も昔はそうでした。今は違います、秋葉原時代からのお客様がいまだについてきてくれるのです。
実に様々なタイプのお客様がいらっしゃいます。なので聞き方も伝え方も様々です。
共通しているのは、我が家に聞きに来られ、この音に惚れ込み、みなさん、わたしと同じように音質改善され、一緒に進歩して来たように思います。
ウエスタンスピリッツでご試聴され、その時々の音質改善に対しメリットやデメリットを話されます。
特にデメリットを私はとても気にします。それを一つ一つ色んな方向から改善してきたのです。話すと簡単ですが、何かに導かれているようで、実に険しく不思議な道のりでした。
そして、やっと理想に近い音質になって来ました。文にすると簡単に見えますが、音質改善とは実に厄介なものです。
オーディオを分かっていないことを分からなければならないのです。それには、素直で広い心でなければなりません。
知らない事を知らないと素直に言える人間にならなければなりません。そして粘着質な性格と、経験に裏打ちされた技術と、センスが必要になります。
ウエスタンスピリッツと同じにされれば、同じような音質になります。私は知らないで今の音を構築出来たのではありません。
みなさんと同じように間違えた方向に行ったりしました。そして、若い頃は良いものを使えば良い音になると思っていました。
それは大いなる錯覚です。しかし、ある日気が付いたのです。色んな方の助言を素直に聞こうと。
そして、間違いながらも進んで行くと、少しずつ分かって来たのです。何故良いのか、何故駄目だったのかを考える様になったからです。
絡んでいた紐がほどける様に、総てが繋がったと言ったらいいのも知れません。そして、私なりのスタイルが出来上がったのです。
私は答えを出したのです。色んなやり方があるとは言っても、現に私は鳴らしたのです。
ならば、鳴らした人の意見を取り入れるべきです。その方が遠回りは少ないのではないでしょうか。そしてそのレベルから個人のカラーを加えていくのです。
独りでオーディオをやってると、ミスにも気付きません。伝えてくれる人もいません。
私には私のやり方やペースがある。その考え方もあるのでしょうが、自分より上手くいってる人の言葉に耳を傾ける、これが第一歩です。
独りでオーディオは出来ません、人は勘違いする生き物です。時には、辛口コメントも大いに必要です。
昔、秋葉原で販売していた時に、こんなお客様がいらっしゃいました。違和感のない電気的に鳴っていないかの様なスピーカーが消えたようなシステムが理想です。
それにはどの様にすれば良いのですか?と聞かれました。私は、それは絶対に無理ですとその時は答えました。
しかし、やってみましょうか?私は言ったのです。私が三十三歳の事でした。さあ、責任重大です。
それから二十三年、遂に私はその音を鳴らしたのです。その時のお客様が船橋のIさんなのです。
近々Iさんが確認にいらっしゃいます。さあ、どの様な結果になるでしょうか。
オーディオは自分以外の他人が納得して初めて良くなったと言えるのです。いかにたくさんの方の賛同を得られるかです。
なので、オーディオは独りでは出来ないのです。