上流が大切
このお話はタイムラグがあり数年前のお話しである、ウエスタンスピリッツは、このあたりから飛躍的な進歩をとげてきた。
オーディオは総てが大切なのだが、ソフトが大切、優れたターンテーブル、優れたトーンアーム、カートリッヂ、CDPがとても大切だと思う、当然ケーブルもである。
確かに一番変わるのはスピーカーなのだが、上流からの音楽信号をアンプで増幅しながら再生するのがオーディオなのである。
若い頃、金田式DCアンプを作ってる方がいて、その音を聞かせていただいたが、その音に当時はとても驚いた。
しかしその方は私と同じターンテーブルとトーンアームを使っていたが、カートリッヂはDENONのDL‐103だった。
103は私も使っていたが、円針なので音飛びするレコードがたまにある、その方に指摘したが、その時は聞き入れてもらえなかった。
月日は流れ、偶然、秋葉原で再開した「まだオーディオやってますか?」と聞いてみた「昔程ではないけどやってるよ」との事。
双方の連絡先を伝えあいその日は軽く話して別れた、次の日連絡が来た「今のあなたの音を聞いてみたい」との事だった。
カートリッヂは相変わらずDL‐103との事、我が家のCadenzaBULUEを聞いていただいた「甘さがなく素直な音ですね、私も欲しくなった」と話した。
「それにしてもよくこのスピーカーをここまで鳴らしたね、このボックスでこの様な素直で優しい音を初めて聞いたよ」と何度も話された。
「貴方自身もこの様な音をこのボックスを使ってる人のシステムから聞いた事ないでしょう?」と話された「確かにそうなんです、紆余曲折あって色々経験し、こうなったのはここ一年位からです」一言「話すのは簡単だが鳴らすのは至難の業だ」と感心されていた。
そして色々話した、やはりソフトの事だった「以前あなたに強く言われたので、レコードもCDも全部輸入盤に買い換えた」との事「音のいいソフトを更に上手く鳴らす方法はあるが、音の悪いソフトはどうにもならない」と話された。
「確かにそうですが、このシステムはその差も少なくなりました」とお伝えし、日本盤も聞いていただいた、更に驚いていた。
日本盤は音楽に必要のないあらのような音をカットしてしまう傾向にある、島国の日本人にありがちな生真面目さがあだになっているのだと思っている。
有名な盤は、ビル・エバンスのワルツ・フォー・デビーの地下鉄の音である、このソフトはビレッジヴァンガードで録音された、ビレッジヴァンガードの下には地下鉄が通っている、多分その音をマイクロフォンが拾ってしまったのである。
レコードでもCDでもその音は輸入盤ならば聞こえるが、日本盤ではどちらも聞こえないのである。
輸入盤と日本盤双方聞いていただき感心されてしまった、つまりオーディオマニアの求める究極の美味しい所が日本盤には少ないのである。
入っているものは総て聞きたいものである、そこがないと言うことは他の音まで歪んでいる気がしてならない。
日本盤がオリジナルならば仕方がないが、できる限り本国でプレスされたものがいいと私は思う。
そんな事をトーンアームの微調整も含め、止めどもなく話しあった、最後に「あなたのシステムの音は、くっきりと影のような縁取りがあり、鮮やかだけれど落ち着いていて品があり、穏やかで優しく濃厚に感じた」と話された。
やはり自己満足ではなく、帯域バランスは崩さず、誰が聞いてもいいと言われなければならないと思う。
「まだまだですが、私はこれが生業なので、とことんやってみたまでの事です」とお伝えした。
自己満足や好みで生業は成り立たない、独特では駄目である。
因みに私のドライバーLE85は、ダイアフラムをUSAラジアンのへら絞りのアルミのタイプに換えてある、全く違う整った音なのです。
だから今やLE85ではない、マグネットがLE85なだけである、オリジナルのダイアフラムは製造されなくなって何年経つのだろうか、何回も取り替えたが左右の音色が違ったりインピーダンスも揃ってなくて、実に大変な思いをした、ラジアンのへら絞りダイアフラムは常に左右揃っているのである、位相管理もやりやすい。
話は戻るが、結論「オーディオは総てが大切であるが、上流がとても大切である」との結果が出た。
この方は金田さん本人ではないが、結構名のある方である。
我が家のイシノラボのパッシブプリも、チャンネルデバイダーも、パワーアンプも、システム全体も音も結構な評価だった。
若い頃はボロクソに言われたのに。