オーディオは再生音だが、時として怪物に。
東京は、本日の予想気温35℃に、朝からうだる様に暑かった、みなさん熱中症にご注意を。
こんな日は部屋でオーディオ何ていかがでしょう。
よく原音再生と言う人がいる、どだい無理な話だ、それは確かに録音する時、各楽器のすぐそばにマイクを置き、かぶりつきで聞いてる様な録り方をしているが、原音もかなり入っているがそれでも、録りきれていない、結局録られた各々の音をミックスダウンしてまとめ音楽にするわけだ。
ウッドベースやピアノを弾く人が感極まり弾きながら声を出して歌ったり叫んでいる、その声を聞けば良く分かると思う。
楽器ごとに拾う周波数をミキサーが調整し変えているからだと思う、それでは空気感が既にずれている事になるが、実に上手くまとまってはいると思う。
その代表的なのがクラシックのグレングールドやジャズならばビルエバンスだろう。
明らかに人の声だが、かなり違う痩せたこもった遠い声だ。
この事で私は誰とも言い合うつもりはない。
私がそう感じるだけだ。
が、しかし、確かにその極限のマイクセッティングのおかげで、とんでもない音がたまに録音されているのもまた事実だ。
私が主観的に思うその録音とは、ビルエバンスのライヴ、ワルツフォーデビィの8曲目の15秒から五秒ほどと一曲目の2分55秒の所からやはり五秒ほど入っている(細かく聞いたらもっとたくさん入っている)ビレッジヴァンガード床下の地下鉄の音だ。
八曲目は大抵鳴るが、一曲目はかかなり優秀なシステムでないと鳴らない。これが入っているのは輸入盤CDで、OJC盤の0025218621021 RIVERSIDE、つまりOJCだけである。
日本国内で生産されてるビクター盤はほとんど入っていない、当然オリジナルレコード盤には入っている、所有されてる方は是非一度ご自分のシステムで再生してみてほしい。
それが鳴ったところでどうって事はないが、やはり入っているものは総て鳴った方が良い。
貴方の装置の低音再生能力がよく分かる。
普通は鳴ってもウンウン唸る程度だが、我が家ではゴロゴロとハッキリ地下鉄と分かる。
後は何と言ってもシンバルのカッツーン!だ、ライヴで聞くとどうしてもオーディオで出ないのはほぼシンバルの音だろう。
普通のオーディオではシャンシャン鳴ってるだけだ。あんなものオーディオで出たらうるさくて仕方がないと言う人がいる、そんな事はない、実はかなり出る。比較的ヨーロッパ系のスピーカーシステムはその音が苦手みたいだが、私のは対決姿勢で聞くJBLなので打撃音はかなり出る。
このシンバルを鳴らすのに実は我が家もまだなかなか上手く鳴らせない、この音を求めていて、かなり鳴らしている方がいる、ケーブルメーカー ゾノトーンの前園さんである。
基本的にはJBL4350を軸としたマルチシステムで、凄まじい重低音がいきなり奥の方からまるで風の様に、吹っ飛んでくる我が家の4560ではとうていあの重低音は出ない、それとシンバルだ、肉厚なシンバルがカッツーン!っと切れよく出てくる。
初めてこういった生を越えたとんでもない再生芸術もあるのだと知り、心底感心した。
システム全体を良く見てみると、ツィーターは075をはじめ大小違うメーカーが片チャンネル三つも付いている、普通ならば多分全く繋がらないであろう、しかし音でなく、音楽として、空間表現として繋がってるのだ、だから追い込んだ私のネットワークとはまた全く違った魅力があった。これで分かる、オーディオに答えはないのだと、前園さん本人は、それでもまだまだ気に入らないらしい、何度かお邪魔したが、伺うたびに前園さんの見た目からは想像も出来ないサウンドはいつも過激に進化している、これは凄い事だといつも感心する。
以前は音像が化け物の様に馬鹿でかく定位していた、しかし、今はもうそうではない、そこから重低音が噴き出して来るのだ。
それがいかに魅力的で凄い事か。
オーディオとはここまで鳴るのか、そう思った。
それを聞くといつもマルチシステムを私は羨ましく思う、違う性質の鳴らし方だと自分を慰めてはみるが、我が家はいちいち半田しなくてはならず、なかなか答えが出ない。
しかし、それで良いのだ。今日は少し負け腰になったが、とにかく世の中にはとんでもない怪物がたくさんいる。
そしてある意味オーディオは時として、ふとしたひょうしに生(なま)を越える事もあり得る。
この文章ってなんだか支離滅裂?