店頭での比較試聴
オーディオは実際に自宅で聞いて買うという事が出来ないので、様々な間違いが起こる。
スピーカーに例えると、今はその様なお店は減ってきたが、同じフロアーに所狭しと重なって隣り合っておいてある。
他のスピーカーも鳴ってしまうためドロンコーンのような効果になり、正確に聞き分ける事が出来ない。
それと店頭では大きな音で鳴らす為、実際に配達され聞いた時「えっ、こんな音しかしないの?」となる。
今までのスピーカーを処分してしまっているので、そこに悲劇が生まれる。
私はこんな事があった、我が家のスピーカーはJBL 4560BKを軸としたオールホーンである。
市販品のどのようなスピーカーと比べても元気があり派手だった、それがこのスピーカーの特長なのだと疑う事すらしなかった。
ある日店頭でJBL 4425を聞いていた、エリック・クラプトンのアンプラグドだった。
我が家にはない低いクラプトンが足で床を踏み鳴らす音が素敵に聞こえた、我が家に帰宅し聞いてみた。
全く鳴っていない、鳴っていないと言うよりとても薄い、そしてギターの音も被ったようにボンボン鳴っていた、とにかく音が汚い。
このような音は市販のスピーカーシステムでは鳴らない「我が家の音は違う、帯域バランスが崩れている」やっと気がついた。
三十二歳の時だった、ネットワークは3110、他にも改善点はあったがこれも問題だった。
ネットワークを開けて部品定数を調べてみた、全く狙った周波数でクロスされていない、これはJBLファンならば結構有名なお話である、アッテネーターも錆びていた。
私はJBLオリジナルネットワークを疑った、先ずは同じ定数で同じに安価に買ってきた部品で板の上にネットワークを作ってみた。
とても同じ定数で作ったとは思えなかったが、暫く使った後「ちゃんとしたネットワークを妥協なく作ってみよう」こう思った。
まともなネットワークが出来上がった時、なんと十二年の歳月が流れていた。
ネットワークを作っている時ネットワーク以外の事も沢山分かってきた。
そして現在に至る。とにかくオーディオとは難しく簡単には鳴らないのである。
このような苦労をしたくなければ、店頭で比較試聴して市販品のスピーカーシステムを購入したほうがいいとは思うが、やはり音を分かっているかどうかであり、部屋に入った時そのスピーカーがどの様な音を鳴らすのか、感じ取れるだけの知識と耳を持っていなければならないので、正に至難の技である。
そして購入する前にどの様なコンセプトでそのスピーカーが作られたのか的確に調べる必要がある。
これが出来る人は、いい音を鳴らせる可能性がある。
例えば十万円のものと十五万の商品が存在した場合、必ず高い方をチョイスするべし。
それもよく調べ、自分のコンセプトと合う方をチョイスして下さい。
今回はスピーカーを例にしたが、アンプやCDプレーヤー、カートリッヂも同じ事が言えます。
しかし店頭で優れた音を聞ける事はないと心得て下さい、店頭で選ぶ場合色々差し引きしなければなりません。