私はケーブル屋
色々細やかにカートリッヂの内部についてお話を伺いました。
私はアナログ好きを語りながら、実はカートリッヂの構造を全く理解出来ていない、こう思った「俺はやっぱりケーブルを作る職人なんだ」しかしそれでいいのだ。
「総てを理解出来ないとオーディオカートリッヂは作れない」そう思って来た、しかし私は帯域バランスを人より早く理解出来る。
分かっていない自分を理解した、でも帯域バランスを掴むのはとても大切な事だと思った。
人のシステムを聴くとは、確かに自分のシステムとの対比である。
ミュージシャンの中に楽譜を読めない方が多いと聞いた、しかし楽譜を読めても大したことないミュージシャンも沢山いらっしゃる。
ミュージシャンに大切なのは、自分が弾いた楽器や自分の声が、観客にどの様に聞こえているのか理解する事だが、物理的にそれは不可能だ。
よくミュージシャンは音を分かっていると聞くが、私は違うと思う、よく自分が歌ったり弾いたものを録音して聴くと、違和感ありありだと言う。
そうそれこそが骨伝導である、つまり弾いたり歌っている人ほど理解出来てないのである。
こんな経験はないだろうか、昔ラジカセで自分の声を録音してみた、実に変な声に感じて家族に聞いた、すると「何時ものお前の声だ、そのままに録音されてるよ」エエーッ?!と思った。
そしてギターを弾いて歌いそれを録音してみた、全く違う蛙のような低音のない、宇宙人のような声に聞こえた。
そして歌唱力もがた落ちに聞こえる、とにかく自分で感じる自分の声とは、実際人が聞いてるのとは全く違うのである。
オーディオの音も似たようなものである、絶対帯域バランスや、自分の音も基準も持っていない為、他人の音と自分のシステムの音の比較が出来ないのだと思う。
分かっていない、この言葉が一番ぴったり当てはまる。
もっと言わせていただけるなら、私もそうだったが、音楽を理解していない。
そして基準やポリシーがないため、中古レコード屋に探しに行っても、優れた盤を見つける事が出来ないのである。
いくらレコードの本を購入し読んでみても、本当の事は何処にも書いていない、書いてる方が分からないからだと思っている。
カートリッヂ作りはそのようなものだと思った、使っている装置があまり上手く鳴ってないと正確な検証は出来ないと思ったがそうではない、どの様に鳴るのか分かっていればそれでいい。
ケーブルも同じ、総てを理解してないとしっかりした検証にならないと仰った方がいらした、ならば今聴いてるウエスタンスピリッツのケーブルの音は何なのか?と言う事である。
間違えてはいない、他にはない優れたケーブルだと思う。