オールホーンスピーカーに天井の高さは必要ない
よく聞くこの言葉、オーディオルームは広く天井の高い部屋が良いと、広さはある程度確かに必要だ、しかしあまり天井の高い部屋はオールホーンスピーカーシステムの場合逆にエネルギーロスに繋がる気がする。
軽井沢に私とほぼ同じシステムを組んでいただいたお客様がおります、別荘で部屋の広さは40畳ほどで、天井は吹き抜けになっている、はかった事はないが凄く高い、久しぶりで聞いてきたが、物凄い残響特性であった、楽器の位置はどんなにセッティングで追い込んでも、再生音にエコーがかかる、我が家の様に音像がそこに現れる事はなかった、そして低音は我が家と比べて明らかに不足していた、総ての音が頭の上から降って来るような鳴り方、私のウーハーよりコーン紙が重く、低音がでるJBL2205Aなのに。
逆に昔からのお客様で、小屋裏部屋で、断面から見ると野球のベースの様な部屋の形で、両サイドは一メートル位しかないリスニングルームの方がいらっしゃる、天井が剥き出しの様な感じで、その頂点は2メートル20センチメートルだと言っていた、そこも我が家とほぼ同じオールホーンスピーカーシステムなのだが、部屋の響きはデッドで、質の良いライヴハウスの様な鳴り方だ、話していてもその声は鮮明だ、再生音はエネルギーに満ち溢れている、心配していた高域は申し分なくのびていて、大して音量は上げていないのに低域が特に凄まじかった、低い所から突き上げる様に鳴っていた。
私も今回その様な部屋をめざしているのだ、これは主観とお使いのスピーカーによるが、世間で言われている天井の高い部屋を私はあまり賛成出来ない。
確かに天井の低いライヴハウスは存在する、それこそ楽器は天井の高さと影響するのではと思う、適度な響きもつけたいし、音が上に抜けないのはあまり宜しくないと思うが、聞いていて特に気にはならない、しかしオーディオは再生音だ、あまり余計な響きは要らないし、定在波が起こると私は思う、オーディオルームのベストは吸音七割で遮音が三割と言われる、かなりデッドな響きだ、しかしどうやっても定在波はなくならない、ならば潔く私はエネルギーロスを気にしたい。
私はエネルギーロスを減らしここまで鳴らした、JBL4560で普通低音はあまり鳴らない、しかし我が家はかなり鳴るのだ、そして以前あまり鳴らなかった最低域は、カートリッヂをオルトフォンSPUを工夫することにより、かなり引き締まり随分鳴った、部屋の天井があまりに高いのは些か問題も起こるとは言えないだろうか。
広さは確保したいが、高さはあまりに低いのは確かに問題だが、思った程の効果はないと思われる。
私は聞くのがジャズが主体だ、クラシックはどうなのだろうか?やはり天井が高い方が雰囲気は出るのだろうか、しかし録音しているブースはそんなに広くはないし、天井が高いとは言えない、その響きや広がりは録音で録られている、それに余計な響きを付けずエネルギーロスなく再生した方が良いのでは、私はそう思う。
とにかくオーディオは過去からの保守的な間違えた常識がたくさんはびこっている、私はそれを疑い、その間違いをけっこう見つけたし、それが正しかった事もあった。
とにかく聞いて良ければ総てよし、でもその基準は自分より優れたシステムとの対比でしかない、でもよほど酷い部屋でないかぎりオーディオはそれなりにしっかり鳴る筈である。
私はそう思う、建築法や予算などの色々な問題で、完璧な部屋など作れないからだ、お金があってもそれは多分同じだと思う、限られたスペースの中で、最善の努力をする、それがオーディオではないだろうか。
みんな同じではないだろうか、簡単ではないが、限られた制限のある部屋で努力して、何かを補い自分の意図する音をいつか鳴らせた時、至福の時をオーディオと共に過ごせる、私はそう思います。
それ以前に、完璧なオーディオルームなどこの世に存在しない。