リッツ線ラインケーブル実験開始
久し振りの大きな実験だ、過去に何度か試した時は、ウエスタンの線で作った為か、音は今一つだった、今の様にマイナスも太い単線ではなかった、シールドもプラスマイナス両方にまとめてかけていた。
では、なぜウエスタンの線で駄目だったのかであるが、私の使っているウエスタン単線は被覆が経年変化で、たまにはげているところがあるのだ、つまりそのままでは完全なリッツ線にならない、一本一本に絹糸を巻き付けてみたりしたが、線と線の間の距離が出来すぎて、リッツ線にはなったが、音は中抜けになった、それと線が少し太かった為にあまり多芯線にならなかった、原因は他にもあるかも知れないが音は今一つだった。
私は昔、日本の単線でも作り方によっては音の良いケーブルが作れる筈だと思い、0.6㎜のPEW単線を購入しておいた。
知り合いが、リッツ線は、単線に比べ一本一本が、被膜で被われた細い線をたくさん合わせて作る為に、同じ断面積にして作ると、一本一本の断面は円の為、表面積を増やせる事になる、オーディオの音楽信号は周波数帯域が広い、電気信号は高い周波数になるほど電線の表面を流れようとする性質がある、よって電気の通りがスムーズになり、特に高周波でインピーダンスが低くなり、音に良い影響を与えるかも知れない、これがリッツ線の表皮効果だと言う事だった、リッツ線とは、線同士が初めと終わりしか接触しない、その間は完全に絶縁されているのである。
実際は、もっと細い単線をたくさん使った方が、本数が増える為、表面の径数をふやせる事になる。
話は少しラインケーブルからそれるが、スピーカーケーブルならば、インピーダンスも低いし、流れる電流も多い、周波数帯域も広いので、リッツ線のメリットは大きいと思う。
電源ケーブルはノイズカットトランスを入れている方などは、一次側の場合高周波は流れないが、二次側は影響するので、実験してみる価値はあるかもしれない。
でも今回、とりあえず私の十八番である、ラインケーブルから色々試してみよう、そう思った。
今回0.6㎜фの、太くて極端なリッツ線ラインケーブルから作って聞いた感想をのべたい。
その前に、0.6㎜の単線を四本とは、断面積は私が使っているマイナス単線の1.2㎜と同じになる、しかし、リッツ線なので、その表皮効果は二倍となるのである。
ツルンッとした音で、歪み感がなく現代的で、静かで、細かく鋭い、自然で開放的な鳴り方になった、そして音は強いがうるさくならない、しかしこの試聴結果は私のケーブルの作り方での話だが。
そしてこれから先、どこまで細い単線で、何本で音の優れた多芯線(リッツ線)を作る事が出来るだろう、あまり細いと音は高域に片寄る気もする、しかしやってみないと分からない。
本当は線同士をあまり捩りたくないのだが、ある程度捩って固くしないと、私の作り方では、絹糸を強く巻けないので作れないのだ、巻きあがり伸ばす時に、丸めて作っていった線の内周と外周が元に戻る為に、中線の行き場がなくなり、線がヨレヨレになってしまう、やはり捩らないと固くならない、ヨレヨレになったそのまま、ケーブルを作ってみた事もあるが、音も形も妙なので駄目だった。
でもリッツ線は、かなりの成果だ、と言うか私は可能性を見いだした、遂にやった、しかしこれから難しいぞ、そう思った。
ラインケーブルでこの結果だ、まだだがスピーカーケーブルならば、本数によってはラインケーブルとは別な意味となり、更なる効果が期待出来る、スピーカーケーブルは、多分ラインケーブルの変化の非ではない筈だ。
テレビで花火師の仕事を観ていた、先代から受け継ぐ色々なノウハウ、でもなかなか追い付けない、受け継いだ何代目かは、試行錯誤して、別の観点から先代を追い抜こうとする、しかし結局先代からの教えに戻っていく、錯覚でなく、確かに上がった時の形や、光る時、消える時の潔さ美しさが違うからだろう、それが真に心で分かった時、本当のスタートなのだ、私のケーブル作りと似ている、そう思った。