市川と言えば瓢(ひさご)の餃子だった…
今日はオーディオとは関係のないお話しですがお付き合い下さい。
とうとう市川駅近くの瓢は跡形もなくなくなってしまった。かなり前に廃業されたのは分かってはいたけれど、やはり実際に見るとショックであった。
中華やさんなのだが、有名なのは、やはり餃子だと思う。揚げ餃子なのだが、一個がいなり寿司位はある、それが一人前で六つある。味は甘く(キャベツの甘みで砂糖は入っていない)何とも言葉にしようがない。普通の餃子ではない。
私の青春の味だったのである。実名を出して申し訳ないが、志村さんと言う恰幅のいい背の高いお兄さんがいらした。彼が餃子を仕込み揚げていた。
十何年か前に、体の具合が悪いらしく「俺はもう死んじゃうんだ」と言っていた。ふざけてか分かっていらしたのか分からないが、言って良い事と悪い事がある。でもその時凄く嫌な予感がした。
冗談でもそんな事言ってほしくはなかったが、そのお話は本当になってしまったのである。
それから三ヶ月後に、家内と行った時に従業員の女性から聞いた、「死んじゃったんですよ…」突然の訃報であった。
それからずっと厨房にいらした強い眼力のおじさんは急に歳をとり、行くたびに力なく小さくなっていったような気がした。
もしかして、ここも古いので再開発の波にのまれてしまうのだろうか。私は危惧していた。そして、本当にそのとおりになってしまった。
瓢は、オヤジさんの弟子だった方が引き継ぎ、同じ市川の大野に今も確かに現存する。しかし食べてみたが、やはり志村さんの餃子ではないのだ。と言うより、志村さんの語り口調も味の一つだったのに後から気付いたのである。
しかしそのオヤジさんの弟子だった方も今は、体を壊され店には出ていないようだ。
総ては遅すぎたのである。瓢の餃子は市川の駅の側が確かに美味かった。これを思っている人は私だけではないだろうと思う。
大野の店も頑張ってるのは分かる。しかし絶対的に違うのである。油かな?素人には瓢の餃子だけはどうしても分からない。
せっかく帰って来たのに、とても残念である。
瓢さん、美味しい餃子を本当にありがとう。